予防接種の対象となる主な病気

ページ番号1005111  更新日 2024年4月22日

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法定予防接種の対象となる病気

(病気の名称と、〔 〕内は予防接種の名称)

結核〔BCG〕

結核菌の感染で起こります。わが国の結核はかなり減少しましたが、まだ2万5千人近い患者が毎年発生しており、大人から子どもへ感染することも少なくありません。また、結核に対する抵抗力は、お母さんからもらうことはできないので、生まれたばかりの赤ちゃんもかかる心配があります。乳幼児は結核に対する抵抗力が弱いので、全身性の結核症にかかったり、結核性髄膜炎になることもあり、重い後遺症を残すことになります。BCGは小児の重篤な結核(結核性髄膜炎や粟粒結核)の予防に、極めて有効とされています。

百日せき〔五種混合〕〔四種混合〕〔三種混合〕

百日せき菌の飛沫感染*1で起こります。1948年から百日せきワクチンの接種がはじまって以来、患者数は減少してきていますが、最近大人の百日せきも少しずつみられ、乳幼児への感染源となっていることもあります。そのため、乳幼児早期から抵抗力(免疫)をつけることが大切です。
百日せきは普通のカゼのような症状ではじまります。続いて、せきがひどくなり、顔をまっ赤にして連続性にせき込むようになります。せきのあと急に息を吸い込むので、笛を吹くような音がしますが、熱はでません。乳幼児はせきで呼吸ができず、くちびるがむらさき色(チアノーゼ)になったり、けいれんが起きることがあります。肺炎や脳症などの重い合併症を起こし、乳児では命を落とすこともあります。

ジフテリア〔五種混合〕〔四種混合〕〔三種混合〕〔二種混合〕

ジフテリア菌の飛沫感染*1で起こります。1981年に百日せき・ジフテリア・破傷風(DPT)ワクチンが導入され、現在では患者発生数は年間0~1名程度ですが、ジフテリアは感染しても10%程度の人が症状が出るだけで残りは症状が出ず保菌者となり、その人を通じて感染することがよく知られています。
感染は主に咽頭ですが、鼻にも感染します。症状は高熱、のどの痛み、犬吠様の咳、嘔吐(おうと)などで、偽膜(ぎまく)と呼ばれる膜ができて窒息死することがある恐ろしい病気です。発病2~3週間後には、菌の出す毒素によって心筋障害や神経麻痺を起こすことがあります。

破傷風〔五種混合〕〔四種混合〕〔三種混合〕〔二種混合〕

破傷風菌は人から人へ感染するのではなく、土の中に潜んでいます。人への感染経路は傷口です。傷口から菌が体の中へ入り増えると、菌の出す毒素のために、口が開かなくなったり、けいれんを起こしたり、治療が遅れると死亡することもあります。患者の半数は自分では気がつかない程度の軽い傷が原因です。
日本中どこでも土中に菌はいますので、感染する機会は常にあります。

ポリオ〔五種混合〕〔四種混合〕〔不活化ポリオ〕

「小児マヒ」とも呼ばれ、わが国でもかつては流行を繰り返していましたが、予防接種の効果で現在は国内での自然感染は報告されていません。
しかし、現在でもパキスタン、アフガニスタン、ナイジェリアなどではポリオの流行がありますから、日本に入ってくる可能性もあります。予防のためにはワクチンを接種して免疫をつけておくことが大切です。
ポリオウイルスはヒトからヒトへ感染します。感染した人の便中に排泄されたウイルスが口から入り、咽頭または腸に感染します。感染したウイルスは3~35日(平均7~14日)腸の中で増えます。ほとんどの場合は、症状が出ず、一生抵抗力(免疫)が得られます。症状がでる場合、100人中5~10人は、カゼ様症状を呈し、発熱を認め、続いて頭痛、嘔吐(おうと)があらわれます。また、1,000~2,000人に1人の確率でウイルスが血液を介して脳・脊髄へ感染し、麻痺を起こすことがあります。一部の人は麻痺が永久に残ります。呼吸困難により死亡することもあります。

麻しん(はしか)〔麻しん・風しん混合〕

麻しんウイルスの空気感染*2によって起こる病気で、潜伏期間*3は10~12日です。感染力が強く予防接種を受けないと多くの人がかかる病気です。発熱、せき、鼻汁、めやに、発しんを主症状とします。最初3~4日間は38℃前後の熱で、一時おさまりかけたかと思うと、また39~40℃の高熱と発しんが出てきます。高熱は3~4日で解熱し、次第に発しんも消失します。しばらく色素沈着(しきそちんちゃく)が残ります。
主な合併症としては、気管支炎、肺炎、中耳炎、脳炎があります。特に肺炎と脳炎は麻しんによる二大死因となっており、注意が必要です。また、亜急性硬化性全脳炎(SSPE)という慢性に経過する脳炎は約10万例に1例程度発生しています。また、麻しんにかかった人は数千人に1人の割合でなくなっています。
予防接種率の高い国では、麻しんの流行がみられません。ぜひ予防接種を受けましょう。

風しん(三日ばしか)〔麻しん・風しん混合〕

風しんウイルスの飛沫感染*1によって起こる病気で、潜伏期間*3は2~3週間です。軽いカゼ症状ではじまり、発しん、発熱、後頸部リンパ節腫脹などが主症状です。そのほか眼球結膜の充血もみられます。発しんも熱も約3日間で治ることから「三日ばしか」とも呼ばれています。合併症として、関節痛、血小板減少性紫斑病、脳炎などが報告されています。血小板減少性紫斑病は患者3,000~5,000人に1人、脳炎は患者4,000~6,000人に1人くらいです。年長児や大人になってからかかると重症化しやすい病気です。
妊婦が妊娠早期にかかりますと、先天性風しん症候群と呼ばれる児(心奇形、白内障、聴力障害など)が生まれる可能性が高くなります。したがって、早めに予防接種を受けておくことが大切です。

ヒブ(インフルエンザ菌b型)髄膜炎〔五種混合〕〔ヒブ(Hib)〕

インフルエンザ菌b型は細菌性髄膜炎や喉頭蓋炎を引き起こす細菌です。正式にはインフルエンザ菌b型ですが、一般的にヒブと呼ばれています。冬に流行するインフルエンザとは全く別のものです。細菌性髄膜炎は、小児では最も重篤な感染症で、全国で年間約400人が罹患していると推定されています。罹患者は0歳児を中心に5歳までの子どもが大部分を占めており、その大きな原因菌の一つがヒブです。ヒブの感染を防ぐ手段として、予防接種が極めて重要です。
細菌性髄膜炎とは…子どもがかかる感染症の中でも特に重篤な病気。その原因の約80%は「ヒブ」と「肺炎球菌」が占めています。脳や脊髄をおおっている髄膜に菌が侵入して炎症を起こし、最善の治療を尽くしても命を落としたり、重い後遺症を残すこともあります。罹患者の約半数が0歳の赤ちゃんのうちにかかり、それ以降は年齢とともに少なくなりますが、5歳頃までは危険年齢とされています。そのため、できるだけ早い時期の接種開始をおすすめします。

肺炎球菌による病気〔小児用肺炎球菌〕

肺炎球菌は、細菌による子どもの感染症の二大原因のひとつです。この菌は子どもの多くが鼻の奥に保菌していて、細菌性髄膜炎、菌血症、肺炎、副鼻腔炎、中耳炎等の病気を起こします。初期の症状は、髄膜炎も菌血症も発熱などでカゼ症状と区別がつきません。2歳未満の乳幼児で特にリスクが高く、ときに死に至ることもあり、救命しても後遺症を残す可能性があります。患者数は肺炎球菌が原因による細菌性髄膜炎が5歳未満の小児10万人当たり年間150人くらいです。

子宮頸がん〔子宮頸がん予防ワクチン〕

子宮頸がんは、子宮の入り口にできるがんで、HPV(ヒトパピローマウイルス)に感染することでかかるとされています。HPVは性体験のある女性の約80%が、一生に一度は感染するというウイルスですが、感染しても多くは自然に排除されます。そのうちの一部が持続感染し、がんが発症していくものが子宮頸がんです。初期の症状がほとんどないため、発見が遅れやすいがんの一種です。また最近は20~30歳代の若い女性に急増しており、妊娠・出産への影響が大きい病気です。
予防接種によって、子宮頸がんの原因の約60%を占めるウイルス(HPV16型・18型)の感染を予防します。すでに感染しているウイルスを排除したり、子宮頸がんの治療をすることはできません。
子宮頸がんの予防のためには、ワクチン接種とともに20歳を過ぎたら定期的に子宮頸がん検診を受けることが大切です。

水痘(みずぼうそう)〔水痘(みずぼうそう)〕

水痘は、水痘‐帯状疱疹ウイルスによってひき起こされる感染症です。感染力の強い病気で、5歳までに約80%の子どもがかかるといわれています。症状としては、だるさ、食欲不振、発熱、せき、発しん、水泡などが現れます。潜伏期間*3は、2週間ほどです。集団生活に入る前に、ぜひ予防接種を受けましょう。
なお、水痘の患者と接触した場合、72時間以内にワクチン接種を行えば予防が可能になります。その場合、もし発症したとしても重篤化する心配はありません。

日本脳炎〔日本脳炎〕

日本脳炎は潜伏期間*3が7~10日で、突然の高熱、頭痛、嘔吐(おうと)、意識障害及びけいれん等を主な症状とするウイルス性の急性脳炎です。感染者100~1,000人に1人が脳炎を発症し、死亡率は20~40%程度と考えられています。なお、神経の後遺症を残す例が多く、脳炎以外に髄膜炎や夏カゼ様疾患も見られます。日本脳炎ウイルスは、豚や馬などの体内で増殖し、蚊を介して人に感染します。流行の中心は西日本地域となっていますが、患者発生のない地域といえどもウイルスが存在していると考えられますので、旅行等で感染する可能性もあります。予防接種は、初回接種2回と、そのおおむね1年後に接種する追加接種1回の計3回の接種をもって基礎免疫ができ、少なくても4年程度は抗体が持続しますので、その後追加接種します。副反応としては、2日以内に37.5℃以上の発熱や、接種局所の発赤、腫脹(はれ)などが約11%程度みられます。
平成28年4月1日より北海道でも法定予防接種として実施することになりました。

B型肝炎〔B型肝炎〕

B型肝炎は、B型肝炎ウイルスを持っている人(キャリア)の血液に、直接接触することによって感染します。母親がキャリアである場合、妊娠中あるいは出産時に、母親の血液によって胎児や新生児がB型肝炎ウイルスに感染し、キャリアになることがあります。キャリアになると、大人になってから肝炎や肝硬変、肝臓がんを発症させることがあります。また、大人がB型肝炎ウイルスに感染すると、約30%の人が急性肝炎を発病し、そのうちの約2%は、死亡するリスクが高い劇症肝炎を発症するとされています。
ワクチンは通常、4週間の間隔で2回接種し、さらに20~24週後に1回の計3回接種します。副反応としては、倦怠感や頭痛、接種局所の腫脹(はれ)や硬結(しこり)などで、発生頻度は5~10%程度ですが、数日中に回復します。

ロタウイルス胃腸炎〔ロタウイルス〕

ロタウイルスによって引き起こされる急性の胃腸炎で、乳幼児期(0~6歳ころ)にかかりやすい病気です。ロタウイルスは感染力が強く、ごくわずかなウイルスが体内に入るだけで感染してしまいます。ふつう、5歳までにほぼすべての子どもがロタウイルスに感染するといわれています。乳幼児は、激しい症状が出ることが多く、特に初めて感染したときに症状が強く出ます。主な症状は、水のような下痢、吐き気、嘔吐(おうと)、発熱、腹痛です。脱水症状がひどくなると点滴が必要となったり、入院が必要になることがあります。また、ワクチンにはロタリックスとロタテックの2種類があります。ロタリックスの場合は生後6週以降から接種を開始し、4週以上の間隔をおいて生後24週までの間に2回経口接種します。ロタテックの場合は生後6週以降接種を開始し、4週間以上の間隔をおいて生後32週までの間に3回経口接種します。両ワクチンともに、初回接種は生後14週6日後までに接種を開始することが望ましいとされています。接種後(特に1~2週間)は腸重積症の症状(泣いたり不機嫌になったりを繰り返す、嘔吐を繰り返す、ぐったりして顔色が悪くなる、血便がでる等)に注意し、症状が見られた際には、すみやかに接種した医療機関を受診してください。

  • *1 飛沫感染(ひまつかんせん)
    ウイルスや細菌がせきやくしゃみなどで、細かい唾液とともに空気中へ飛び出し、約1mの範囲で人に感染させることです。
  • *2 空気感染(くうきかんせん)
    ウイルスや細菌が空気中に飛び出し、1m以上を超えて人に感染させることです。はしか、水ぼうそう、結核が空気感染します。
  • *3 潜伏期間(せんぷくきかん)
    ウイルスが体に感染した後は、体内で少しずつ増殖し、ある日突然、症状をだします。感染してから症状が現れるまでの期間のことをいいます。

任意予防接種の対象となる病気

(病気の名称と、〔 〕内は予防接種の名称)

インフルエンザ〔インフルエンザ〕

突然の高熱、悪寒を症状とした発症が典型的です。鼻汁、鼻づまり、くしゃみ、せき、のどの痛みなどといった普通のカゼでもみられる症状のほかに、関節痛、筋肉痛等も加わります。気管支炎や肺炎、小児では中耳炎、熱性けいれんなどを合併することもまれではありません。
インフルエンザウイルスは、毎年変化しながら流行するため、ワクチンも流行を予測してつくられています。ワクチンを接種して効果が現れるまで、約2週間程度かかり、効果は約5ヵ月間持続します。流行は、12月下旬~3月上旬が中心になりますので、予防接種を受ける場合は12月中旬までに済ませるとよいでしょう。副反応としては、接種局所の発赤、腫脹(はれ)、疼痛をきたすことがありますが、2~3日で消失します。卵アレルギーのある人は、じんましん、発しん、アナフィラキシーショックなどが現れる可能性がありますので、医師と相談のうえ接種してください。

おたふくかぜ〔おたふくかぜ〕

おたふくかぜは、流行性耳下腺炎とも呼ばれ発熱と耳下腺の腫れが特徴で、髄膜炎や難聴等の合併症が出ることがあります。潜伏期間*3は3週間前後で、小学校低学年までにほとんどがかかっています(感染しても発病しない不顕性感染が35~40%程度あります)。大人になってからかかると、睾丸炎などの合併症が出ることがあります。おたふくかぜによくかかるのは4歳前後なので、予防接種を受ける場合は集団生活に入る前にするとよいでしょう。副反応としては、まれに発熱、耳下腺の腫れ、せき、鼻汁、嘔吐(おうと)などがありますが、数日中に消失します。無菌性髄膜炎を発症することがありますが、合併症や後遺症は出ていません。

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