伝統的なアイヌ文化・生活の場の再生支援事業(釧路地域のアイヌの伝統的生活空間(イオル)再生事業)

ページ番号1005677  更新日 2025年4月1日

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イオルとは

かつて、アイヌの人々は、食料や飲み水が得やすく、災害に遭いにくい川沿いや海沿いの場所を選んでチセ(家)を建て、数軒から十数軒のチセが集まるコタン(村)を形成しながら、その周りに広がる大自然で狩猟や植物採集を行い、生活していました。
アイヌ語でイオルとは、狩猟・採集をする「狩場」という意味で、そうした衣食住、儀式等、生活に必要なものの多くをまかなう自然の領域、生活圏のことです。

釧路市教育委員会では、2018(平成30)年度から「釧路地域のアイヌの伝統的生活空間(イオル)再生事業」を開始し、令和2年度からアイヌ政策推進交付金事業に移行し、「伝統的なアイヌ文化・生活の場の再生支援事業」として実施しています。

事業の趣旨・目的

アイヌの人々の伝統や文化は、いわゆる同化政策などにより急速に衰退し、一時保存や伝承が困難な状態となりました。
アイヌの人々が文化を復興し、保存、継承、発展を図るためには、アイヌ文化を育んできた森林や水辺等の樹木、草木等の自然素材を確保・活用し、その素材を使って、伝承活動等が行われる空間の再生、形成が必要です。
本事業では、アイヌの人々の文化の保存、継承、発展を図ることを目的とし、一般の方々へのアイヌの伝統や文化に関する知識の普及や啓発に取り組んでいきます。

釧路地域の事業

釧路地域では、阿寒湖温泉地区と春採湖周辺地区の2地域を中心に、その特性を生かした事業を展開していきます。

阿寒湖温泉地区の事業

かつて、アイヌの人々にとって狩猟・採集の場(イオル)であった阿寒湖温泉地区とその周辺は、現在も雄大な自然が残されており、アイヌの儀式・儀礼が盛んに行われています。
新旧のイナウ(アイヌの神事に用いる木製の幣束)が周辺の森林に残され、アイヌ民族の信仰と密着した伝統的生活が続けられていることから、伝統的な生活空間を再現することがふさわしい場所として、阿寒湖温泉地区を「儀式・儀礼の拠点」と位置付けました。
アイヌシアター・イコロに隣接する「ニタイトーの森」と阿寒湖畔の環境省所管地の2カ所で伝承活動を行うとともに、一般の方々にはアイヌ文化やアイヌの方々の日常生活を紹介する環境を整備します。

写真:阿寒湖温泉地区

春採湖周辺地区の事業

市街地にありながら比較的自然が残されている春採湖周辺地区は、海産物を得やすく、また、アイヌの人々の生活に必要なオオウバユリ、ガマ、イラクサなどの有用植物が自生し、栽培・育成しやすい環境にあるため、「自然素材育成の拠点」と位置付け、安定的に有用植物を確保できる環境を作ります。
食用や生活用具作成用の有用植物の試験栽培・育成調査、海産物の捕獲・採集を行い、伝統的な料理や加工技術の伝承および普及などを行います。

写真:春採湖周辺地区

事業実績

情報発信について

現在、フェイスブックで「伝統的なアイヌ文化・生活の場の再生支援事業」を掲載しています。将来的には社会教育施設などをネットワークで結び、リアルタイムに発信することを目指します。
また、釧路市立博物館を、アイヌ文化の情報収集・発信の拠点の一つと位置付け、今後、同館の収蔵品等を活用した情報を発信していきます。

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このページに関するお問い合わせ

生涯学習部 生涯学習課
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