ニホンザル

ページ番号1001548  更新日 2022年8月29日

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霊長(れいちょう)目

写真:ニホンザル

一般情報

分類

霊長目
オナガザル科
種(学名)
Macaca fuscata(亜種 Macaca fuscata fuscata)
英名

Japanese Monkey またはJapanese Macaque

レッドリスト
LC 軽度懸念

形態

頭胴長
オス 53~60cm メス 47~55cm
体重
オス 10~18kg、メス 8~16kg
尾長
オス 8~12cm メス 7~10cm
外部特徴
  • 体毛は茶褐色ないし灰発色。赤ん坊は黄褐色。ただし、色には地方差や季節変化がある。
  • 冬毛はふさふさしており、夏毛へは春から夏に急激に生え替わる。
  • 寒冷地のサルでは、冬毛の期間が9月から翌年4月の8ヶ月間と他地域よりも長い。
  • 夏毛から冬毛への移行はゆっくりしている。
  • 顔と尻が赤く、とくに交尾期は鮮明な色になる。
  • 尻の両側には白っぽい尻だこがある。

分布

青森県下北半島から鹿児島県屋久島まで分布(ただし、屋久島のサルは、亜種の屋久島ザル(Macaca fuscata yakui

生物学的特徴

生息環境
暖温帯常緑広葉秋霖(照葉樹林)や暖温帯落葉広葉樹林、冷温帯落葉広葉樹林、およびこれらの周辺の二次植生
食性
雑食性(果実、種子、花、葉、苗条、茎の髄):積雪地帯では冬期にヒバやマツの葉、ブナ、ミズナラ、ケヤキ、ヤマグワ、コシアブラ、カエデ類などの樹皮や冬芽;他にササ、シダ、キノコ、地衣、海藻:動物性(バッタ、クモ、カタツムリ、ナメクジ、貝):土も食べるが、無機塩類の補給と植物に含まれているタンニンなどの成分を消化管内で吸着させて排出するためらしい。
行動圏
0.25~25平方キロメートル(大抵2平方キロメートル以上)
下北半島のサルでは、5~32平方キロメートル:照葉樹林のサルでは3~15平方キロメートル
繁殖
  • 婚姻制=乱婚的
  • 繁殖期は生息地ごとのばらつきが大きい
    • 交尾期:秋から冬(温暖な地域では10月~翌3月)
    • 出産期:春~初秋(温暖な地域では4~8月)
      出産期は4~5ヶ月に及ぶが、出産の大部分は2~3ヶ月に集中
  • 初産:ほとんどの個体は5歳
  • 妊娠期間=161~186日(平均173日)
  • 産仔数=1(双子はまれ)
  • 出生時体重=400~600g(500g前後が多い)
  • 出産間隔:コドモが無事に育てば、1年おき。年子はまれ。
  • 非交尾期のオス:精子形成は不活発
    非交尾期のメス:月経は停止または不規則
  • メスの最後の出産は20歳前後(餌付け群では26歳の記録あり)
性成熟
  • メス:5~6歳
  • オス:7~8歳(交尾は3歳頃から見られるが、メスが妊娠することはほとんど無い)
寿命
ふつう、25歳までに死亡(野生):野生最高齢=メス32歳、オス28歳
繁殖野生
  • 昼行性で、昼間は採食、移動、休息を繰り返す。夜間は不活発であるが、夜食をとることもある。
  • 寒さには強いが、暑さには弱い(放熱機能が劣っている)
  • 30種以上の音声を状況に応じて使い分けている。
  • 発育
    1. 新生児=生後1ヶ月まで。母乳のみ。母親以外のサルとはほとんど接触しない。
    2. 赤ん坊=生後1ヶ月から1歳前後。固形物の摂食は生後1ヶ月ころから。
      1歳頃になると自分で歩いたり、幼少個体とよく遊ぶようになる。
      離乳開始は6ヶ月齢ころからで、生後11~18ヶ月で離乳が完了する。
    3. コドモ=1歳前後から3歳前後。
      母親に運ばれることはなくなる。他のコドモとのつきあいを広げ、母親との絆は依然強いが、母親以外のオトナとも緊密な関係を築く。
    4. 青年(若ものオス)=精子形成が始まる3歳ころから性的なオトナになる6-7歳まで。
    5. 青年(若ものメス)=排卵が始まる3歳頃から4~5歳まで。
      初産は4歳から見られるが、多くなく、約半数は5歳時に集中し、6歳までに約90%のメスが初産を経験する。
    6. オトナ=7~8歳以上のオス:5~6歳以上のメス
  • 群れの構造
    高順位のオスとメスたちの集団を含む中心部を、下位のオスや低順位のメス家族が取り囲む同心円二重構造。
    • オス:オトナのオスの大部分は、他の群れ生まれ。出自群を離脱したあと別の群れに転入する。高位のオスであっても、群れに永住することはなく、離脱と転入を繰り返すか、群れに離れ離れずの状況や一人ザル(離れザル)で暮らす。群れからの初めての離脱は主に、性成熟を迎える5~6歳から始まる。オスは新しい群れに入っても、1年から長いときで十数年群れに留まった後に離脱する。第1位のオスが群れに留まる期間は平均で3年。
    • メス:群れが大きくなりすぎたたりして、何らかの原因で群れが分裂することがなければ、生まれた群れで一生を終える。順位関係は、長期にわたって安定する。
  • 子の順位:家系に左右される。強い母親の子は、高順位となる。兄弟姉妹でも、年少のサルほど母親の庇護を受けるので、優位となる。特に、群れから出ないメスの順位は、母親の順位に強く依存している。
  • 天敵:野犬、クマタカ、人

個体数

不明:15万5000頭(平成22年度推定値)[環境省・農林水産省 平成26年4月23日発表 ニホンザル被害対策強化の考え方]

ウンチク

  • 秋吉台で見つかった約50万年前の化石が見つかっている
  • 古の人にとっては、秋猿はとびきり美味な食材だったらしい。
  • 1972年、テキサス州(モンキー・サンクチュアリ)に移植された150個体のニホンザルが、1989年時点で470個体に増えている。

参考文献

  1. D.W.マクドナルド編 伊谷純一郎監修 1986 動物大百科. 第3巻. 霊長類. 平凡社.
  2. 日高敏隆 監修 1996 日本動物大百科.第2巻.哺乳類II. 平凡社
  3. Hardman, B. 2011 “Macaca Fuscata” (On-line), Animal Diversity Web. At
  1. Iida, T. 1999 Predation of Japanese Macaque Macaca fuscata by Mountain Hawk Eagle Spizaetus nipalensis.  Jpn. J. Ornitholo. 47: 125-127 (日本語摘要あり)
  2. Watanabe, K. & K. Tokita 2008 Macaca fuscata. The IUCN Red List of Threatened Species 2008: 3.t12552A3355997.

過去の解説記事

ワシントン条約 附属書2
現在必ずしも絶滅のおそれのある種ではないがその取引を規制しなければ絶滅のおそれのある種になるおそれのあるもの

野生のニホンザルは青森県までしか生息していません。
すべてのニホンザルに刺青が施され、マイクロチップが埋め込まれています。
これは約50頭近い群れをすべて個体を管理するために行なっています。
以前は野菜や果物類を与えていましたが、現在はサル用のペレット(固形飼料)のみを与えています。

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