2014年10月のどうぶつえん日記
2014年10月28日(火曜日) 金の雨降る降る
園内にはあまり多くないのですが。
外の駐車場の周りや、事務所の裏、園に来る道中の防風林のカラマツが、良い色になっています。
カラマツは日本の固有種で、もともとは本州(中部、関東、東北)の亜高山、高山帯に分布していたものです。
根付きやすく、成長が早いため、明治時代初期から林業等のために各地で植栽が行われ、その流れで、道内各地でも植栽されるようになりました。
日本産のマツの中で、唯一落葉する種類です。
光の当たり具合や、紅葉の進み具合で多少見栄えは変わりますが。
黄色、金色、橙色など、様々な色を見ることができます。
まあ、細かい葉が大量に落ちてくるので、あとあと掃除が大変であるという落ちはつきますが。
北海道ゾーンも、木々の葉が散り、ずいぶんと見通しが良くなりました。
枯れ木についた多孔菌科(たぶん)のキノコ。
キノコの種類はよくわかりません。
エゾリスの耳毛が少し長くなってきたようです。
シマフクロウの神は、今日も見守っています。
紅葉にせよ、花が咲くにせよ。
動物たちの換毛や、繁殖にせよ。
一年のうち、限られた一時期だけに見られるものです。
日々、季節は移ろっていきます。
紅葉は美しいものです。
散りゆく様は、儚さと、物悲しさを備えております。
毎年、同じように咲き、枯れ、散ってゆきます。
その様は同じであり、かつ、違うものでもありますが。
季節が巡るからこそ、日々新たな巡り合いがあり、我々の目を惹きつけて止まないのだと。
そう、思うのであります。
2014年10月23日(木曜日) 天高くクマ肥ゆる秋
今朝はずいぶんと冷え込みました。
天気は良いので、陽が射せば暖かいのですが。
動物たちは、寒そうであったり、元気であったり。
種によって様々です。
プールの縁に並ぶフンボルトペンギン。
極地のペンギンではないので、実は寒さにはそこまで強くありません。
ただ、今くらいであれば、割と平気なようです。
レッサーパンダも陽を浴びて気持ちよさそうにしています。
一つ、お知らせしなければならないのですが。
レッサーパンダ舎のカエデが、昨日までは見ごろであったのですが。
今朝来てみたら、しっかりと散っておりました。
代わりに、落ち葉の絨毯の上を歩くレッサーパンダを見ることができます。
生きものの季節と云うものは、読めないものですね。
ヒグマ舎に寄ってみると。
最近、キチノスケとコタルがよく窓のそばに来ています。
ヤマトは、と言いますと。
少し離れたところで、所在なさげに立っていました。
キチノスケやコタルの方が強いので、おやつが食べやすい場所を取られてしまったようです。
いつも変わらないように見えて、意外と、個体ごとに性格や、行動の違いがあります。
群れ(というほど多くはないですが)の中での個体同士の関係など、観察していると案外面白いものです。
2014年10月21日(火曜日) 負われて見たのは何時の日か
秋の深まるこの頃です。
北海道ゾーンに、赤とんぼが増えてきました。
アキアカネ(だと思う)。
一時期、トンボ自体をあまり見なくなったのですが、ここ何日かでまた増えてきました。
移動する種ですので、どこかからやってきたのでしょう。
今日は珍しく、エゾモモンガのガチャが外に出ていました。
クルミをかじり
水を飲んで
おかわり。
これはかぼちゃの種かな。
しばらく食べて動いて、糞をして。
そのあとまた巣箱に帰っていきました。
冬も近くなりましたし、たくさん食べて、寒さに備えてくれればと思います。
エゾクロテンのてんてんは、今日は巣箱の中によくいました。
あとでもう一度訪れてみると、お休み中でした。
巣箱の中は、そっとのぞいて下さいね。
そういえば。
レッサーパンダ舎のカエデが良い色になりました。
メイメイがお気に入りの枝にいます。
ちょっと奥まったところなので、少し見づらいのが難点ですが。
まあ、生き物ですから。
仕方ありませんね。
見ごろは、今週末くらいまでだと思いますので。
ぜひ、お越しください。
2014年10月18日(土曜日) 爽秋
よく晴れて暖かい日でした。
青空の下、サルたちも気持ちよさそうにしています。
冬に向けて、動物たちの装いが少しずつ変わってきています。
だんだんと毛足が長くなってきました。
少しボサボサに見えますが、病気ではありません。
トナカイの角の皮が剥けはじめました。
トナカイは、シカの仲間の中で唯一、オスにもメスにも角があり、この角は毎年生え変わります。
鞘をかぶって伸びて、中の角が伸びきると、だんだんと皮が剥がれてきて、中の角が出てきます。
オスの角は主に闘争用に、メスでは雪を掘って餌を確保するために使われます。
オスとメスで角の生える時期は違っており、オスの角は冬には抜け落ちてしまいます。
こちらもそろそろ体毛が伸びはじめ、少しずつ冬毛らしくなってきました。
暖かい日差しの中、オタリアが昼寝をしています。
時々ものすごいあくびも聞こえますが、ご愛嬌ということで。
遊んでいるミルク(左)とツヨシ(右)
今日はポリタンクがお気に入りのようでした。
運動場が塗装中なので、今日は室内にいたチョコ。
明日には塗料が乾くだろうから、それまで待ってね。
天気がいいと、日中は割と暖かいのですが。
少し陰ると急に冷えることもありますので。
暖かい恰好でお越しください。
2014年10月15日(水曜日) 雨上がり
大型の台風が通り抜け、いい秋晴れの日です。
風が強かったので、落ち葉の量も増えています。
レッサーパンダ舎のカエデが、そろそろいい感じです。
ただ、もう少し葉が落ちてくれないと、見づらいかもしれません。
メイメイもコーアイも、けっこう動き回るようになりました。
隣では、アフリカタテガミヤマアラシのテンテンが、日向ぼっこをしています。
季節が進み、日の当たり具合が変わったからでしょうか。
よく寝ていた隅っこから、手前の方に出てきています。
ワピチたちも冬に備えて毛がのびはじめ、だいぶ冬毛に換わりました。
暖かな日差しの中でしきりに反芻しています。
遠く、雌阿寒岳はもう雪をかぶり始めました。
そろそろ冬の気配です。
2014年10月14日(火曜日)子宝祈願
先日より募集しております「ホッキョクグマ「クルミ」への子宝祈願メッセージを書こう!」にたくさんの
メッセージをありがとうございます。(詳しい内容はお知らせをご覧ください)
素敵なメッセージをたくさんいただきましたのでいくつかご紹介いたします。
スタッフみんなで男鹿水族館にいる「クルミ」の出産を祈願しています。
ご来園の際は皆さんもぜひメッセージをよろしくお願いします。
2014年10月11日(土曜日) おからがもらえなかったわけではない
大型の台風が近づいている影響なのか、とても風の強い日です。
ここのところ、園内の紅葉の様子などお伝えしております。
紅葉はきれいなものですし、落ち葉の彩も、秋という季節を感じさせるものです。
「ちはやぶる神世も聞かず竜田河 唐紅に水くくるとは」(在原業平 古今和歌集)
例えば、古来より多くの和歌にも詠まれてきています。
ただ、それだけの話でもないわけでして。
動物園には、大きなプールがいくつもありますし、放飼場も広いものが多いです。
カナダカワウソのプール。 当人たちは、エサを心待ちにしている様子。
ペンギン舎(左)と、オタリアのプール(右) 舞い散る落ち葉の中を泳ぐ姿は、風情があります。
水面に浮かぶ落ち葉は、綺麗でもありますが。
あまり多すぎても、掃除していないように見えたり、時に排水口が詰まってしまったり。
飼育管理上は、問題でもあるのです。
園路にも、落ち葉は多く落ちていますが。
これも、多すぎれば汚らしく見えたり、雨などでぬれると滑りやすくなってしまったりします。
日々、飼育員さんや、掃除業者の方々が、少なくない手間をかけて掃除をしています。
落ち葉というものは、ある意味では、厄介者でもあるわけです。
季節ものですし、自然相手のことですので。
思う通りには当然なりませんが。
そんなわけで、動物園にはそんなこともあるんだなあ、と。
動物たちをご覧になるときにでも、ちらっと思っていただければ。
おまけ
おやつ(お客様)を待ちわびるキチノスケ。
そういえば今日はヤマトが来ていませんね。
2014年10月10日(金曜日) 赤と紅
園内の紅葉が進んでいます。
レッサーパンダ舎のカエデがだんだんいい感じになってきました。
完全に赤くなるまで、あともう少しです。
メイメイもコーアイも、相変わらずよく樹上で寝ています。
そういえば、今週からですが。
こども動物園でメンヨウとヤギの隣にいたアカコンゴウインコとベニコンゴウインコが、アルパカ舎のネプチューンの隣に移動しています。
左がアカコンゴウインコ、右がベニコンゴウインコです。
よく似ていますが、顔に赤い模様が入って、羽に黄色いラインがないのがベニコンゴウインコです。
中南米原産の鳥類で、ペット用の違法捕獲や環境破壊などで個体数が減少しており、
ワシントン条約によって、捕獲や取引が厳しく規制されています。
アカコンゴウインコのうち1羽は、当園の開園当時からいます。
この仲間は長生きすることが知られており、飼育下では50年から60年くらい生きるとされます。
陽があたると、色彩が映えてとても綺麗です。
少し距離も近くなり、見やすくなりましたので、ぜひ、会いに来てください。
2014年10月8日(水曜日) 仲秋の名月
ここ数日、天気は割と良いのですが。
冷え込みが厳しくなってきました。
北海道ゾーンのエゾリスがよく動き回る時期になりました。
全身灰色だと思われていることが多いのですが。
実はお腹は白いのです。
そろそろ冬毛に換わってきますので、全身の毛足が長くなってきます。
木道沿いでは、花の季節はもう終わってしまっています。
ミゾソバ(タデ科)が実をつけました。熟すと、黒くなります。
ソバに似ていて、溝に生えることからミゾソバの名があります。
実は、飢饉の時に食用にされたこともあるようです。
そのまま地面に落ち、いずれ新しい芽を出します。
湿地に生える、少し大きめのセリの仲間です。
この実も、そのまま下に落ちます。
エゾゴマナ(左)とハンゴンソウ(右)の種。
どちらもキク科なので、タンポポのような、綿毛を付けます。
風に乗って、遠くへ運ばれていきます。
猛禽舎のところに生えています。今年は豊作のようです。
黄色い果皮がむけて、中から赤っぽい実が出てきます。
この実は、鳥が好んで食べ、鳥によって種が運ばれていきます。
ハクチョウのいなくなったハクチョウ池。
冬に備えて、オオハクチョウを収容しました。
鳥インフルエンザ対策のため、毎年この時期には収容し、春まで展示を中止しています。
ご理解のほど、よろしくお願いいたします。
そういえば今日は月食だったようで。
勤務時間終了頃には、欠けた月が登っていました。
少し得をしたような、そんな日でした。
2014年10月7日(火曜日) エゾリス舎清掃
年末のお掃除にはまだ早いですが、エゾリス舎は1年に一度の大掃除です。
樹上を走り回る様子を見ていただけるように工夫されたこの動物舎ですが、お掃除するのは一苦労・・。
金網のトンネルをひとつずつ外して、エゾリスが落としていったクルミの殻やその他モロモロ色々出てきます。
金網から見るとこのような感じ。
リスになった気持ちになっていただけましたか?
お掃除の間、リスさんたちは様子をうかがっています。
きれいになったエゾリス舎へリスたちに会いにきてくださいね♪
おまちしてまーす。
2014年10月4日(土曜日) 秋時雨
予報では夕方からとなっていましたが、昼過ぎからやや強めの雨が降り始めました。
今日の空模様は、少し不安定なようです。
園内の立ち木に、キノコが生えていました。
なんとなく目を惹いたので写真を撮りましたが、残念ながら種類はわかりません。
ところで「キノコ」というのは、総称とでも言いましょうか。
分類的には、「菌類」という大きなグループの中で、子実体(繁殖器官)が肉眼で見えるほど
大型のものをそう呼びます。
青カビやコウジカビなど、いわゆるカビと近い仲間です。
北海道には、多くのキノコが生えます。
そもそもの種類が多く、似たようなものもたくさんあります。
食用になるものも、ならないものも、有毒なものもあります。
色々と俗説がありますが、無理に判断せず、詳しい人に聞くのが一番いい方法だと思います。
猛獣舎に立ち寄ってみると、ゆうひがボールで遊んでいました。
前肢で勢いよく転がし、ケージの中を所狭しと動き回ります。
フェンスや壁にボールがぶつかり、ガンガンと音を立てます。
そのうち、父ちゃんに絡みに行きました。
ボールをぶつけ、ついでによりかかると、やれやれ、といった風にアキラが立ち上がります。
いったん、じゃれつくゆうひを押しのけて、伸びあがって爪を研ぎます。
気合を入れたのかな。
ひとしきり遊んだあと、満足したのか。ボールを大事そうに抱えて座り込むのでした。
体が少し大きくなり、頭もソフトモヒカンのようになってきましたが。
顔つきには少し子どもっぽさが残ります。
アキラのように立派なたてがみを持つようになるには、まだしばらくかかるようです。
2014年10月2日(木曜日) 紅葉
少しずつ寒さが増すにつれ、園内でも紅葉が進んでいます。
中央広場の看板付近や、ワピチ舎のあたりでは、割といい感じに色がついています。
一方、レッサーパンダ舎のカエデは、もう少しかかりそうです。
さて。
10月になり、狩猟期に入っています。
エゾシカやクマなどの狩猟のため、ハンターが鉄砲を持って山の中に入ります。
散弾銃やライフル銃を使うのですが、今までは鉛が含まれる銃弾が多く使われていました。
その鉛弾について、「北海道エゾシカ対策推進条例」に基づき、この10月から北海道内では、使用に加えて、エゾシカ猟における猟場での所持も禁止されることになりました。
背景としては、およそ20年ほど前から問題が表面化してきた、猛禽類の鉛中毒という現象があります。
シカが増え、鉛弾で撃たれたシカが山中に放置されることが多くなりました。
ワシ類はそうしたシカ肉を食べていますが、その際に、鉛も一緒に食べてしまいます。
鳥類には、ご存知のように歯がありませんので、食べ物は丸呑みにし、
丈夫な胃(筋胃)で細かく砕きます。
肉と一緒に細かく砕けた鉛の破片を飲み込んでしまい、鉛が胃で砕かれ消化されて、吸収された結果、中毒になってしまうのです。
北海道では、今までに多くのオオワシ、オジロワシや、クマタカなどの猛禽類で犠牲が出ております。
海外でも、イヌワシやハクトウワシでの発生が知られています。
今までにも、北海道では2002年からシカ猟において、2004年にはクマも含む大型獣の狩猟における鉛弾の使用は、鳥獣保護法(鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律)に基づく告示によって禁止されてきたのですが。
鉛中毒の発生自体は収まりませんでした。
今回の規制で、少しでも解決につながっていってほしいと思います。
当園でも、オオワシ、オジロワシ、クマタカ、そしてハクトウワシを飼育しております。
格好よさ、眼光の鋭さ、美しさなどから、よく知られている鳥類でもあります。
彼らが生きる背景に、こうした現象が今もあるということを、ぜひ、知ってくださればと思います。
2014年10月1日(水曜日) 神無月
10月になりました。
午後になると、少し肌寒く感じます。
歩いていると、ポトポトと音がします。
北海道ゾーンやサル山前など、園内のあちこちにミズナラの樹があります。
ここから、熟したドングリが落ちてきていて、その音が聞こえているのです。
園内のところどころに、フタつきのバケツが置いてありますが。
この中に拾ったドングリを入れていただくと、あとでサルたちの餌になります。
北海道ゾーンには、カメムシがいました。
ナガボノシロワレモコウに止まっていますが、そろそろ花も終わりかけです。
カメムシというと、嫌なにおいを出すことで有名です。
また、秋口から特に増えるように感じますし、家の壁のすきまや、雨戸の内側などに入り込んで越冬することがあるため、あまり好かれない虫です。
よく見ると、細かな模様があり、案外きれいな虫なのですが。
まあ、仕方ありませんね。
アイヌの言葉では、フラウエンキキリ(臭くて悪い虫)などと呼ばれるそうで。
つぶして矢毒に混ぜると、臭いものほど効果が強かった、とする説もあります。
さて、10月は、神無月とも呼ばれます。
(もともとは旧暦10月の呼称ですので違うとも言えますが。近年は新暦の10月にも充てることがあります)
由来としては、島根県の出雲大社に全国の神々が集まって云々、とする説が一般的ですが。
この説は後世の後付であるとされます。
結局のところ、どういう経緯でこの名がついたのかは、まだ謎のままであるようです。
「神」とされるものには、様々なものがあります。
日本には、古来より「八百万の神」という概念があります。
また、北海道では、アイヌの民謡や神話などを見ると、様々なものを神として祀っています。
当園にもそのうちのいくつかがおります。
例えばヒグマは、キムン・カムイ(山の神)と呼ばれ、ヒトを襲うなど悪さをすると、
ウェンカムイ(悪い神)とされました。
シマフクロウは、コタン・コロ・カムイ(村を領有する神)と呼ばれます。
猟をしに来た人間に、クマの所在を伝えたり、悪い熊から人間を守ったりしたという伝承があります。
彼らが神として祀られたのには、姿や、仕草、習性など、様々な理由があったのだと考えられます。
身の回りの、他の生きものと様々に関わり、敬意を払ってきた結果であるのでしょう。
時には、こういうことを考えてみるのも、なかなかに面白いものです。
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