【博物館友の会】春採湖畔植物フェノロジー調査<2009年3月>

ページ番号1002718  更新日 2023年3月12日

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【その3】2009年3月28日(土曜日)

写真:ケヤマハンノキ(3月28日)

前回ケヤマハンノキの花芽の膨らみをご紹介しましたが、今回の観察で開花が確認できました。この写真は雄花で、表面には黄色い花粉が沢山でています。敏感な方はこの花粉により「花粉症」になることがあるそうです。お気をつけください。


写真:雌花

この写真は雌花です。前回ご紹介した花と同じ花ですが、花柱を見るため裏から撮影しました。前回は硬かった雌花に、小さい毛のような花柱が沢山出ているのが見えますが、これが一般に雌しべと呼ばれるものです。受粉した雌花は松かさ状の実をつけます。


写真:キバナノアマナ(3月28日)

早くもキバナノアマナが実をつけていました。花の真ん中に丸く小さな薄緑色に見えるのが実です(矢印)。その下には次に咲くつぼみが見えています。ちなみに、開花の速さを競うエゾエンゴサクの実は、マメの鞘のような形をしています。見つけたらまたご紹介します。


写真:フキノトウ1

「ふきのとう(アキタブキ)」の花が多くなってきました。写真上は雌株の花、写真下は雄株の花です。アキタブキは雌雄異株で地下茎から「ふきのとう」といわれる花茎を伸ばします。春採湖畔花こよみ200選の調査では、雌花が134センチまで伸びたものが観察されましたが、雄花は20~30センチくらいで枯れて茶色(茶髪)になっていました。


写真:フキノトウ2

山菜の蕗は同じ地下茎から別の葉柄をだし、柄の部分を食べます。肥沃な沢地などでは大きくなり、通称ラワンブキなどと言われます。
ちなみに、北海道では見られませんが、津和野の名の由来となった「つわぶき」は葉柄の集まりの中から花茎を出し黄色い花をつけますので、ふきのとうはありません。


いよいよ春、2003~2005年の3年間行った「春採湖畔花こよみ200選+α」の調査によると、4月に入ると「一花(イチゲ)」類も競って咲き出します。次回は4月7日観察の予定です。なお、観察終了後、休日などをはさむとホームページへの掲載に若干時間がかかることがありますのでご了承ください。

(文章・写真撮影 友の会々員 藤田)

【その2】2009年3月18日(水曜日)

写真:フクジュソウ

先ずは、福寿草が咲いていました。
春採湖畔で咲く福寿草は、1茎1花の「キタミフクジュソウ」がほとんどです。この日は終日霧がかかっていましたので花弁は開いてはいませんでしたが、太陽の光を受けるとまるでパラボラアンテナのような花を開かせるでしょう。群落で見られるのは4月中旬頃の見込みです。


写真:エゾエンゴサク(3月18日)

エゾエンゴサクの見ごろが近づいています。前回、キバナノアマナに一日咲き遅れたエゾエンゴサクですが、ところどころにポツポツと咲き出しました。見ごろは4月中旬ですが散歩の途中で楽しむことが出来るでしょう。(キバナノアマナは良く探さないと見つけることが出来ませんでした)


写真:ケヤマハンノキ(3月18日)

ケヤマハンノキの花芽がふくらんできました。写真の大きな花芽4個は雄花、付け根の先に小さく2個付いているのが雌花です。
3月7日の観察で50だった雄花の花芽は今回62になっていました。普段あまり気にして見た事がないケヤマハンノキの花芽ですが、こんなに赤く美しい姿でじっと春を待っていたのですね!!


写真:ネコヤナギ

ネコヤナギの芽鱗(ネコヤナギは葉柄が芽鱗に変わった)が取れて綿毛が出てきました。この木はメスですから薄緑色のメシベが出るのは4月中旬になるでしょう。
ネコヤナギの芽鱗は花の先に抜けていきます。同じような抜け方をする柳にエゾノカワヤナギなどがあります。


写真:バッコヤナギ

写真はバッコヤナギの芽鱗が抜けるところです。見た目は前回ご紹介したメスとほとんど変わりませんが、この木はオスですから4月下旬にはオシベが多数出て黄色になります。バッコヤナギの芽鱗は付け根に残りやがてはがれて落下します。同じ抜け方をする柳にナガバヤナギなどがあります。私達はこの違いから前者をネコヤナギ型、後者をバッコヤナギ型と呼ぶことにしました。


春採湖畔植物フェノロジー調査は今回で7回目です。これまでは冬芽が硬く閉じていましたのでご紹介しませんでしたが、前回の観察(3月7日)から春らしさが見えてきましたのでHPに載せてみました。次回の観察は3月28日です。終了後できるだけ早くご紹介したいと思います。

(文章・写真撮影 友の会々員 藤田)

【その1】2009年3月7日(土曜日)

写真:調査風景

この写真は博物館裏の野草園内でナガバヤナギの観察をしているところです。メンバーはこの4人と撮影者合わせて5人です。


写真:バッコヤナギ

冬の間硬く芽を閉じていたバッコヤナギも、3月7日の観察では写真のように芽鱗(平たく言えば冬芽のカバー)から綿毛が顔を出していました。しかし、この状態はまだ開花ではありません。4月の下旬になると黄色い花粉を持ったオシベやメシベが出てきます。
写真は春採湖ネイチャーセンター前のメスのバッコヤナギです。


写真:キバナノアマナ(3月7日)

2008年の12月上旬から、月3回のペースで観察を始めました。11月頃まで続ける予定です。
3月7日の観察では、春採湖畔の春を代表する花である、キバナノアマナとエゾエンゴサクのどちらが先に咲くのか?をテーマに探しまわりましたが、ついにキバナノアマナの開花を見つけました。


写真:エゾエンゴサク(3月8日)

しかし、なんとその翌日(3月8日)エゾエンゴサクの咲いているのが確認されたのです。ここは前日5人で開花していないことを確認した場所でしたので、開花日3月8日に間違いなしでしょう。
今年はキバナノアマナに一日遅れたエゾエンゴサクですが、植物学的にはほとんど差がないと言って良いでしょうね。


これからも、おおよそ月3回のペース、プラスアルファで観察を続け、たとえばエゾヤマザクラは、鶴ヶ岱公園にある気象庁の標本木と春採湖畔の木の、どちらが先に咲くのでしょうか?など、普段私達があまり気にしていないけれど気になる植物のフェノロジーを観察したいと思います。なお、観察の結果を時々このHPでご紹介したいと思います。

(文章・写真撮影:友の会会員 藤田)

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