2015年6月のどうぶつえん日記
2015年6月26日(金曜日) アザミ花咲く
少し涼しい日が続いています。
しかしながら、北海道ゾーンはしっかり初夏のようです。


ヤマブキショウマ(バラ科)も、少し前からですが咲いています。
さて、園内の様子はというと。
オオモミジが葉を広げたレッサーパンダ舎にて。
シンゲンがのんびりとしています。
仲良く寄り添っているハクトウワシ。
タテガミがだいぶはっきりしてきたライオンのゆうひ。
今日は岸で甲羅干しをしていたゼニガタアザラシ。
小さい方は「みぞれ」、大きい方は「まあ」でしょうか。
なんとなくエビフライのように見えます。
……中の人はお腹がすいているようです。
それはさておき。
本日、お客様からの通報により、スズメバチの巣が見つかりました。
まだ小さく、作りかけだったようですが、無事に駆除いたしました。
お知らせくださり、ありがとうございました。
今後も、お気づきの点があればお知らせください。
そういえば中の人が日記を書くようになってから、だいたい1年が経ちました。
だから何だということでもないのですが。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
2015年6月24日(水曜日) 陽熱至極しまた、日の長きのいたりなるを以て也
夏至になりました。
しかし、昨日今日と、肌寒い日が続いております。
道東らしい気候であるといえばそうなのですが、コロコロと気温が変わるので大変です。
事務所脇のエゾノコリンゴで、エゾシロチョウが羽化していました。
アイヌ語ではイセポマレウレウ(ウサギのチョウ)やレタラマレウレウ(白いチョウ)などと呼ばれます。
白いチョウは他にも色々といますが、特に区別はされていないようですね。
この幼虫はエゾヤマザクラやエゾノコリンゴなどの葉を好んで食べます。
アイヌの人は、生活によく利用するこれらの樹を害する虫として認識していたようです。
北海道ゾーンではマユミ(ニシキギ科)やヤナギトラノオ(サクラソウ科)が咲き始めました。
割と目立たない花ですので、じっくり探してみてください。
キリン舎にて
柵越しに草を食べようとしているスカイ(左)とコハネ(右)。舌が長いのがわかります。
低いところの草を、脚を広げて器用に食べています。
エサ入れに乾草がまだ少し残っていましたが、青草が食べたかったようです。
昨日の写真になりますが、ホッキョクグマ舎にて。
お客様から、スイカの差し入れをいただきました。
ありがとうございます。
ミルクは、見ていない時にあっという間に食べてしまったので写真がありません。
一方のツヨシはというと。



ミルクの写真がスイカだけではなんですので。
今日の写真です。
お客様から、ソリをいただきまして。
持ち上げてぶん投げたところです。


むしろ盆踊りの笠のように見えますね。
割と気に入ったようで、よく遊んでおりました。
ありがとうございます。
釧路らしい涼しい日が続きます。
少し暖かい恰好で、動物園までお越しください。
2015年6月19日(金曜日) 桜子黄
徐々に緑が深くなっていきます。
72候では「梅子黄(うめのみ きばむ)」となりますが、このあたりに梅はありません。
代わりと言ってはなんですが、エゾヤマザクラの実が色づいてきました。
まだ黄色いもの、赤く紅く色づいているものなど、色々とありますが。
まだ熟してはいません。熟すと黒くなり、主に鳥たちが食べます。
ナミテントウ(テントウムシ科)。背中の斑点の数には幾つかのパターンがあります。
これは19個の斑点があるタイプです。
お椀のような体つきをしていて、アイヌ語ではツキキキリ(お椀虫)、イタンキアクカ(お椀半分)、ニセウアルケ(ドングリ半分)などと呼ばれます。
もっとも、あまり生活とは結びつきがなかったのか、特にお話としては知られていません。
フタスジチョウ(タテハチョウ科)が飛び始めました。
気温が上がり、徐々に虫も増えてきました。
ムラサキツメクサの花蜜を吸いに来たエゾトラマルハナバチ。
口の中に折りたたまれた長い舌を持ち、花の奥にある蜜を吸います。
マルハナバチは餌を全て花に依存しており、カロリー源は蜜から、タンパク質は花粉から得ています。
花から花へ動き回り、花粉を媒介して回る、植物にとっても重要なパートナーです。
ケージの裏、ちょっとした空き地で、エゾトラマルハナバチが出入りしていました。
彼らは地中や朽ち木にあいた穴、ネズミの巣穴、落ち葉の下などに巣を作ります。
近づいても基本的に刺したり襲ってきたりすることはありませんので、もしこういう場所を見つけたらそっと見守ってください。
類人猿舎にて
小腹がすいたのかおやつ(草)をつまむロリーと、自在に動き回るりな。
ずいぶんと活発に動き回るようになりました。
換毛がほぼ終わって、すっきりしたワピチ。
午後の陽射しの中、のんびりと反芻しています。
エゾシカも夏毛になり、鹿の子模様がしっかりと出てきました。
当園では3頭のエゾシカを飼育していますが、うち1頭は、子どものうちに連れてこられました。
誤認保護。いわゆる「誘拐」というものです。
エゾシカの赤ん坊は、生まれて数時間で立ち上がり、歩くことができますが。
生後2週間くらいまでは、生まれた場所の近くで茂みや岩の陰などにうずくまっています。
親は一日に数回、授乳しに戻りますが、その時以外は周りで見守っていたり、餌を探していたりします。
2週間程度経つと、親について歩くようになり、やがて自分でも餌を探すようになっていくのです。
このように、小さいうちはじっとうずくまっていますので。
ケガをしているとか、親とはぐれているとか、親切心から保護されてしまうことがあるのです。
これを誤認保護とか誘拐と申します。
エゾシカの赤ん坊が一人でいても、親は必ず近くに居ますので、触れたり捕まえたりせず、そっと離れてください。
こうした問題はエゾシカだけではなく、エゾユキウサギや、或いは鳥の巣立ちヒナなど、色々な動物に対して起こっています。
特にケガなどではなく、見つからないように隠れているだけだったり、飛ぶ練習をしている所だったり。
そういう成長の仕方をする生きものはたくさんいるのです。
親切であることは、保護しようという気持ちは、非常に貴いものです。
ただ、実行する前に、よく観察し、一度考えていただければと思うのです。
2015年6月16日(火曜日) 初夏の便り
午前中からよく晴れて、暑いくらいの日でしたが。
午後になると、少し陰ってきて涼しくなりました。
園内には、地味な花たちが増えてきました。
バイケイソウ(ユリ科)が咲き始めました。左が全体像、右が拡大です。
このような花が集まって穂を作ります。色合いは地味ですが、不思議と存在感があります。
なお、有毒ですのでご注意ください。
こちらはカラコギカエデ(カエデ科)。割と湿ったところを好むカエデの仲間です。
漢字で書けば「鹿子木楓」で、樹皮が剥がれると鹿の子模様になるため、この名がついています。
ツルウメモドキ(ニシキギ科)も咲きました。
ツル性の植物で、他の樹や建物に絡んで伸び、秋にはオレンジ色の実をつけます。
ワピチ舎横からの遊歩道沿いに、ミヤママタタビ(マタタビ科)が咲いています。
葉の先が白く染まっているのでわかりやすいですが、花は葉の下にぶら下がっていることが多いので、ちょっとめくってみてください。
木道沿いの池では、成長したオタマジャクシがわさわさとしています。
アイヌネギ(ユリ科)もひっそりと咲き始めました。
今日はプール掃除だったゼニガタアザラシ。仲良く並んで甲羅干しです。
アラレの寝顔。写真真ん中少し下あたりに、黒い点のように見えるところがありますが。
これがアザラシの耳です。
アザラシは人間などと違って、耳介が無く、孔があるだけなのです。
午後になって、悠々と泳ぐアメリカビーバーの菊丸。
泳ぎながら器用にヤナギの小枝をかじります。
しばらく見ていたら、枝をもって部屋に入ってしまいました。
日中は気温も上がり、徐々に初夏の気配がしてきています。
ただ、寒暖の差が結構ありますので、風邪などひかぬよう、ご自愛ください。
2015年6月12日(金曜日)ハクチョウ池近くの「シマフクロウ」の検査結果について
「お知らせ」でお伝えしたようにシマフクロウ舎の飼育展示を中止しておりますが、シマフクロウの検査をした結果、「貧血」と判明し、現在治療と予防を行っています。
今回は貧血の原因と現在行っている予防対策についてお伝えしたいと思います。
貧血は、吸血昆虫(蚊やブユ、シラミバエなど)に血を吸われたこと、そしてその際に「住血原虫」が寄生したことが原因で起きたと考えられます。
「住血原虫」とはその名の通り「血に住む虫(寄生虫)」で赤血球に寄生して成長し、次々に赤血球を破壊します。
また、繁殖や成長に伴って生活する場所を変えます。
繁殖や成長に伴って生活する場所を変える生物は他にもいます。
例えば、カエルはおたまじゃくしの間はエラ呼吸のため水中で生活をしますが、成長しカエルになると肺呼吸となり陸上での生活が中心となります。
今回シマフクロウに寄生した住血原虫は、吸血昆虫の血液内で繁殖を行いますが、成長はできません。
そのため、吸血昆虫がシマフクロウの血を吸う際にシマフクロウの血液内へ移動をして成長します。
シマフクロウ舎の周りは木々が生い茂り虫が多い場所だったので、住血原虫の発育サイクルを断ち切って、治療と予防ができるように、虫が比較的少ない場所へシマフクロウを移動しました。
また、現在は1羽ずつ分けて、エサに貧血予防薬を混ぜて与えるなどの治療を行っています。
皆様にはご心配をおかけしておりますが、少しずつ貧血も回復してきております。
飼育展示の再開については、個体の回復状態や吸血昆虫の発生状況を監視しながら決めてまいります。
何卒、ご理解いただきますようよろしくお願い致します。
2015年6月10日(水曜日) 劇的ビフォーアフター
晴れたり雨が降ったり、はっきりしない日でした。
ヒグマ舎にて、ごろ寝しているコタル。
完全に寝ているわけではなく、顔の近くにおやつがあると、器用に首と前肢だけ動かして食べています。
そんなところで器用さを発揮しなくてもいいと思うのですが。
まあ、お歳なのでご容赦ください。
北海道ゾーンにて
クサノオウ(ケシ科)とシコタンキンポウゲ(キンポウゲ科)
少し前から咲いています。
徐々に林床が暗くなってきました
木道沿いのシラカンバの樹に、こんなものがぶら下がっています。
オトシブミという甲虫の仲間で、メスはこのように葉っぱを巻いてゆりかごを作り、その中に卵を産みます。
手紙を丸めたように見えることから、「落し文」という名前がついています。
シオヤトンボが飛び始めました。
そろそろトンボの季節です。
さて、本日はアルパカの毛刈りが行われました。
当園のアルパカは現在5頭おりますが、生まれたばかりの赤ちゃん以外の、おとな4頭の毛を刈りました。
アルパカはヒツジと同じように、換毛せずに伸び続ける動物です。
そのため、定期的に毛刈りをする必要があるのです。
その際、ひづめや歯の状態を見たり、採血をしたり、健康診断も行います。
ネプチューン(オス)とエルシー(メス)
白い毛がだいぶ汚れて見えます。
こちらはトパーズとルビーの母娘。汚れはあまり目立っていません。
だいたい2時間ほどかけて、一通り毛を刈ります。
ネプチューン(左)とエルシー(右)
トパーズ(左)とルビー(右)
毛刈り直後は近づいてきてくれなかったので、いまいち見づらい写真になってしまいました。
4頭ともだいぶすっきりしましたので、もこもこだった時とはだいぶ印象が変わります。
ぜひ、確認にお越しください。
なお、さわり心地は変わりませんので、ご安心ください。
2015年6月6日(土曜日) 芒種
お昼ごろまで晴れていましたが、徐々に陰ってきて、肌寒くなってきました。
ここのところ、暑くなったり寒くなったり、忙しい日々です。
風邪などひかぬよう、ご注意ください。
とはいえ、少しずつ夏に向かっていますので(暦上ではもう夏ですが)。
動物たちも、それぞれ夏に向けて準備を進めているところです。

前日になりましたのでもう一回宣伝をしておきましょう。
明日は、コハネ来園1周年記念と、スカイ、コハネの誕生会です。
スタンプラリー、フェイスペイント、キリン舎見学等ありますので、皆様お誘いあわせの上、動物園までお越しください。
久々にエゾリスに会いました。
まだ耳毛が長く、まだほとんど換毛していないようです。
とはいえ、ところどころ茶色く見えますし、そのうちすっきりと夏毛に変わるでしょう。

トナカイたちも換毛が進んでいます。
袋角もしっかりと伸びてきて、オスの角は特に立派になっています。
一見して、かなりボロボロに見えますが。病気ではありませんのでご安心ください。
北海道ゾーンでヒオウギアヤメ(アヤメ科)が咲きはじめました。
ゼンテイカ(ユリ科)も咲いています。
マユミの枝についていたナミテントウ(テントウムシ科)
アブラムシやカイガラムシなど、小さい虫を食べる虫です。
実感はあまりありませんが、初夏が近づいてきています。
サル山にて。
赤ん坊もだいぶ大きくなりました。
張り巡らされているパイプが気になるようで、いじっています。
母ちゃんが離れたすきに、別の子ザルが一緒に遊び始めました。
母ちゃんが戻ってきて、甘えているようです。
こちらはもう一頭。
好奇心旺盛で、色々と見て回りたい様子です。
母ちゃんはちゃんと見ていて、危なくなりそうなら取り押さえに行きます。
落ち着くと、しっかりしがみつきます。
まだ、母ちゃんが一番なのでしょう。
2015年6月3日(水曜日) 水があったりなかったりする話
いつの間にやら6月になりました。
6月は別名を「水無月(みなづき)」と言います。
元々は旧暦6月の呼び名ですが、現在の暦でもそう呼ぶことがあります。
語源については諸説ありまして。
梅雨が明けて水がなくなるから、とか田んぼに水を張るから水張月(みずはりづき)、転じて水月(みなづき)、とか色々な解釈があり、決まってはいないようです。
そんなわけで(何が)、本日はホッキョクグマ舎プールの水替えでした。

どうしても水が汚れてきますので、定期的な掃除、水替えが必要となります。
衛生上、また観覧する上でも必要なことですので、ご理解くださいますよう、お願いいたします。
ホッキョクグマ舎のプール掃除日程については、ホームページのお知らせからご確認ください。
順調に花が増えてきている北海道ゾーンです。

サクラの仲間なのですが、完全に葉が伸びてから花が咲きます。
咲く時期も遅く、葉に隠れやすいので、あまり目立たない種類です。

同じバラ科ですので、花の形は似ています。
七回かまどにくべても燃えない、とか、七回焼くと良い炭になる、とか。
名前については幾つかの説があります。
赤い実や、紅葉がきれいな樹でもあります。
エゾカラマツ(キンポウゲ科)とスズラン(ユリ科)
こちらはマムシグサ(サトイモ科)
茎の模様が似ていることからそう呼ばれますが、コウライテンナンショウという別の呼び名もあります。
園路沿いがだいぶにぎやかになってきました。
今年は花が咲くのがずいぶんと早いように思います。
白鳥池の岸辺に、オジロワシのペアが来ていました。
一羽でいるのはたまに見ますが、そろって来ているのを見たのは久々です。
魚でも捕りに来ていたのでしょうか。
今日は、午前中は暖かかったのですが、午後からだんだんと天気が下り坂に入っています。
寒暖の差がありますので、ご注意ください。
このページに関するお問い合わせ
生涯学習部 動物園 管理飼育展示担当
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