【日記】首の異常(2021年3月26日更新)

ページ番号1002219  更新日 2022年8月29日

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2020年8月4日の夕方。(399日齢)

体重338.8kg、ミルク3.5リットル

無線で呼ぶ声「獣医さん、応答願います」
「どうしましたか?」
「キリン舎にこれますか?」
「了解」

その日もいつものようにキリンの飼育担当者が様子を見ながら声をかけ、キリンを寝室に誘導しようとしました。
変わったことがなければ寝室に用意したエサを目当てに、さっさと寝室にやってくるのですが…

しかし、この日は違いました。
いつもなら最初に入ろうとするコハクですが、なかなか入ってきません。
「どうしたの?」
「何があったかわからないけど、首の様子が変だ。腫れているようで。」
「…腫れているんじゃないようだねぇ。見た感じかなり硬そうだから、骨が飛び出てるんじゃないかな。」
嫌な予感が頭をかすめます。骨折したか?脱臼したか?
いや、それならとっくに死んでいるか、立つこともできずに横たわっているはず…。
しっかりと患部の確認をしたいところですが、もう薄暗くなってきています。
夏とはいえ釧路の夜は冷え込みます。
このまま外にいるとコハクが弱ってしまうので、なんとしても寝室に入ってもらわなければなりません。
痛いのか涙を浮かべているコハク。
声をかけながら少しずつ寝室に誘導しました。
痛くて歩くのもつらい様子で一歩進んでは休み、一歩進んでは休み…。
いつもならミルクを見るとすぐにやってくるのに、歩くことだけで精一杯で、この日はミルクを飲むことすらできませんでした。
すでにコハネも寝室にいて、いつもと違う様子に緊張しています。
今晩は安静にして、翌日しっかりと確認することにしました。

2020年8月5日(400日齢)

朝、ゆっくりと時間をかけて患部の確認をしました。
触ってみてもやはり硬く、その感触はどう考えてみても骨の感触でした。
どうなっているかはわかりませんが、まずは痛みを緩和してあげることが先決と、鎮痛剤を投与し様子を見ようとしましたが…。
痛みで飲むことも、食べることもできないため、鎮痛剤を飲ませることができません。
「そうだ、坐薬があった!!」
足の治療をすることが多く、いろいろなタイプの鎮痛剤を用意していたのが幸いしました。
(他には湿布や軟膏、注射薬も用意していました。)
早速、坐薬を使用してみることにしました。
とはいえ、キリンに坐薬を入れても効くかどうかはわかりません。
ひとまず入れて様子を見ていると、お昼にはミルクを飲むことができるようになりました。
今日は6.89リットル飲みました。

2020年8月6日(401日齢)

ミルクを飲むことができるようになったとはいえ、まだまだ痛い様子。
ミルクを強く吸うときや方向転換するときに痛みが強くでるようで、大粒の涙をポロポロと流しました。
「キリンも痛いと泣くんだなぁ」と妙に感心しました。
それでも立ったり、座ったりできるようになったので、痛みはコントロールできているようです。

2020年8月7日(402日齢)

レントゲン撮影を行い、首の骨を骨折(第一頸椎・横突起)、脱臼(第一・第二頸椎間)していることがわかりました。
原因はわかりませんでした。(赤矢印が飛び出ているところ)

写真:首の骨折部


首の事故では、脊髄が傷ついて即死してしまったり、立つことができなくなったりすることが多いのですが、コハクは骨折、脱臼しても奇跡的に脊髄を損傷していませんでした。
ただ、コハクのケガは外科的治療が難しく、脱臼しているところはそのまま固まらせるしかありません。
残念ながらコハクはこのまま首が曲がったままの状態でいるしかないということになります。

2020年8月13日(408日齢)

鎮痛剤が効いて痛みがないせいか、食欲が戻り始めたコハク。
この1週間ですっかり痩せてしまいました。
事故の日(8月4日)の朝の体重計測で、338.8kgあったのが、8月10日には327.4kgで、11.4kgも減っていました。
鎮痛剤が効いて、餌を食べられようになり、ホッと一息です。
この日はミルクを7.37リットル飲みました。

試練が続くコハク… to be continued…

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