1-20~27 釧路の海1(貝類・甲殻類・魚類・海獣)
1-20 カニ類
北の海にはタラバガニをはじめ、ハナサキガニやケガニなど冷たい海に住むカニ類も豊富です。タラバガニの大きなものは甲羅の幅が25cmにも達し、「キング・クラブ」、カニの王様といわれるゆえんです。
ハナサキガニの名は、根室半島の花咲周辺で多くとれることに由来します。
タラバガニとハナサキガニは、はさみを入れても足の数が左右4対8本で、分類学上はカニよりもヤドカリに近い種類です。形がカニに似ているのでタラバガニ、ハナサキガニという名前が付きました。
北海道のカニとして道外の人々にも親しまれているケガニが本来のカニで、はさみを含めた足の数は左右5対10本です。
1-21 海獣類
釧路の海にはクジラやアザラシ、オットセイ、トドといった哺乳類も生息しています。
アザラシやオットセイ、トドは水中と陸上の両方で生活しています。ゼニガタアザラシは人が近づきにくい岩場などで繁殖し、根室から釧路、十勝の岩場で見ることができます。
ゴマフアザラシは氷の上で繁殖します。流氷とともに北海道近海に現れます。
トドも冬に日本に現れます。数が減少して保護が求められていますが、一方で魚などを大量に食べるため、漁業被害も多く、両者の共存が求められています。
1-22 サケ(シロザケ)
釧路地方で見られるサケの種類はシロザケ、カラフトマス、サクラマスの3種で、シロザケが最も多く漁獲されます。
シロザケは捕獲される季節によって名前が変わります。5月から6月頃に北海道太平洋の沿岸に来遊するものをトキシラズと呼び、回遊中であるため脂がのり、たいへん美味しいサケです。一方、秋に産卵のため川に遡上するものをアキアジと呼びます。
シロザケはオホーツク海、北太平洋、ベーリング海を回遊して4年ほどで成熟し、産卵のために毎年9月から12月にかけて釧路川に10万尾以上が遡上します。
サケ資源を増やすために、我が国では1876年(明治9年)以来、遡上してきたシロザケを捕獲し、人工孵化と稚魚の放流を行ってきています。
1-23 サクラマス(ヤマメ)
サクラマスの名は、桜の咲く時期に獲れることから、また肉の色が濃いピンク色であることに由来すると言われています。
北太平洋産のサケ・マス類の中で分布範囲が最も狭く、日本近海とオホーツク海に限られます。
海洋で1年生活し、産卵のため早くて4月に川を遡上します。川に入ったサクラマスは産卵期の8月下旬から10月上旬まで、深みや物陰で過ごします。
川で育った稚魚は翌年に春に海へ降りていきますが、そのほとんどがメスです、一方、川に残った個体はほとんどがオスで、これをヤマメと呼びますが、北海道では「ヤマベ」と呼びます。
1-24 巻貝類
現在は展示しておりません(2016年展示リニューアル)
釧路沖の代表種はエゾボラ、クビレバイ、ナガバイなどのエゾバイ科の巻貝で、北海道ではツブ貝と呼ばれます。
エゾボラは水深10~1200mの広い範囲に生息し、クビレバイは100~200m、ナガバイは30~80mに深さに生息します。
最も多いのは、マツブと呼ばれるエゾボラとヒメエゾボラで、その他「トウダイツブ」と呼ばれるクビレバイ、ネジボラ、モスソガイ、カラフトエゾボラなどがあり、焼きツブや煮ツブとして食べられます。中でも大型のエゾボラは刺身にして食べられます。
1-25 カレイ類
釧路の海岸は釧路川を境にして、西側は砂浜が広がり、東側の岩礁の海岸でも水深50mを過ぎると砂の海底が多くなります。
こうした場所にはカレイ類が多く見られ、北海道周辺では32種、釧路近海では16種が生息します。マガレイやクロガシラガレイは水深100mより浅い砂と礫の海底に、スナガレイは水深30mより浅い砂と泥の海底に生息します。ヌマガレイは海の魚ですが、釧路川の下流域や釧路湿原の湖にも生息しています。
カレイとヒラメの見分け方は「左ヒラメの右カレイ」といって、白い腹を下にして腹ビレのある方を手前に置いた場合、眼が左にあるものをヒラメ類、右にあるものをカレイ類として区別できます。しかし、カレイ類でもヌマガレイだけは眼が左側にあるヒラメ型です。
1-26 スケトウダラ
釧路沖で最も漁獲量の多い魚種です。北海道では「スケソウ」または「スケソ」と呼ばれます。スケトウダラの呼び名は、昔、佐渡島(新潟県)周辺で多く獲れたことから、佐渡の別名である「スケト」に由来したといわれています。
成魚は冬から春にかけて産卵のため回遊し、産卵場所である道南の噴火湾に集まり、夏や秋に餌をとるために釧路沖に戻ってきます。親がスケトウダラの子どもを食べる共食いもします。
成熟した卵巣は塩漬けにされて紅葉子、タラコと呼ばれて広く市販されています。また肉はすり身加工され、かまぼこやソーセージに利用されます。
1-27 シシャモ
シシャモは日本固有の魚で、北海道の太平洋岸にのみ生息します。この魚は「柳の葉の魚」を意味するアイヌ語のスス・ハムまたはシュシュ・ハモから由来します。
11月中旬から12月初旬にかけて産卵のために釧路地方では新釧路川、阿寒川、庶路川、茶路川などに遡上します。産卵期には雄は尻びれが大きくなり、体の色が黒くなります。
資源維持のため新釧路川と庶路川のふ化場では毎年、川に遡上してきた親の魚を捕獲し、自然産卵させた3億粒の卵をふ化させ、放流を行っています。
日高地方の「鵡川のシシャモ」が有名ですが、漁獲量は道東地方で多く、釧路市でもブランド化を図っています。
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