2015年8月のどうぶつえん日記

2015年8月28日(金曜日) 秋雲は砂の如く

木々の葉が少しずつ色づきはじめ、吹き抜ける風も涼しさを感じさせるようになりました。
「春雲は綿の如く、夏雲は岩の如く、秋雲は砂の如く、冬雲は鉛の如し」とは、正岡子規の残した詩でありますが。
空を見上げれば、季節の移り変わりを感じます。


 
猛獣舎にて、今日はおもちゃで遊んでいたゆうひ。
エッグボールをくわえて振り回し、ガス管を岩の上に持ち上げようとして失敗していました。
意外と寝てばかりではなく、時々こういうこともしています。
タテガミはかなり立派になってきましたが、まだ子どもらしいところもあるようです。


バイソン舎にて、反芻中のポロロさん。
まとわりつく虫が減ってきたようで、あまり尻尾をバタバタしなくなりました。


お隣のトナカイ舎にて。
何食わぬ顔で、餌箱に座り込んでいる不届きものがいます。
別にエサを独占しているということでも無いようなので、何となく入りたかったのでしょうか。


さて。
お知らせしておりましたが、今日からチンパンジーの赤ちゃんが正式に公開となりました。
生まれてからだいたい2週間が経ちました。

 
母親のリリーが、あやしたり、時々授乳したりしています。
リリーも出産は2回目になりますので、手慣れた様子です。


少し疲れも出てきたのかな。
大あくびです。


赤ちゃんにもうつったのでしょうか。


赤ちゃんをあやしているリリーに対し、ゆみのすけは近くで見ています。
覗き込むようなこともありますし、お互いに毛づくろいをしていることもあります。
ゆみのすけもこどもを持ったことがありますので、そのあたり慣れているのでしょうか。

類人猿舎にて、仲睦まじい様子を見ることができますので、ぜひおいでください。
なお、しばらくは室内で、午前中のみの展示となります。
そのあたりは、様子を見ながら段階を追って進めていきますので、ご理解のほど、よろしくお願いいたします。


2015年8月21日(金曜日) 蒙霧升降

今日はずいぶんと暑い日でした。
ここ数日涼しかったからか、余計にそう感じるのかもしれません。


木道沿いに咲いていたオオバセンキュウ(セリ科)
湿ったところを好み、人の背丈ほどにまで大きくなります。
アイヌ語では「ムヌシ」と呼ばれ、根を薬やお茶として利用していたようです。


アキアカネが見られるようになりました。
アイヌ語では「フレハンカプエチョッチャ」などと呼ばれ、「赤い・へそを突くもの」という意味だそうです。
交尾しながら飛んでいるときに、メスがオスのへそ(交尾器)を突いているように見えるからだとか。

他にも何種類か飛んでいますが、なかなか止まってくれないため、写真がありません。

繁殖期が終わったからか、小鳥たちもほぼ鳴き止み、コエゾゼミなど、虫たちの声が響いています。


今日はこども動物園のうさぎドームをのぞいてみました。

 
当園では、テンジクネズミ(モルモット)とウサギについて、ふれ合いができるようになっています。
抱き方については掲示を見ていただくか、近くの職員におたずねください。
やさしく触ってくださいね。

なお、触った後は手を洗いましょう。


入り口近くのケージに、アオメキバタンのしんちゃんがいます。
今日は機嫌が良かったようで、ちょっとおすまし顔です。
機嫌がいいと、おしゃべりをしてくれることもありますので、話しかけてみてください。
なお、メスなので、どちらかというと男性が好きなようです。


ドームの奥にはインドクジャクがいます。
繁殖期が過ぎて、そろそろ羽が落ち始めています。

今年は機会がなくて、羽を広げている写真が撮れませんでした。また来年のお楽しみです。


その近くで休憩中のコールダック。
元々は野生のマガモを家禽化し、小型に品種改良したものです。
ちょこまか歩いたり、水入れの中で泳いだりするのを見ることができます。


お隣のフライングケージに寄ってみました。
繁殖期が終わり、カモたちが地味になっています。


これはオシドリのオス。
メスによく似ていますが、嘴が赤いのと、体に少しオレンジ色の羽が残っているのでわかります。


こちらはマガモのオス。
嘴が黄色く、頭のてっぺんは少し緑がかっているのでわかります。

こうして地味な姿になるのを「エクリプス」と言います。
繁殖期以外ではメスを呼ぶために飾り付ける必要がないので、目立たないように地味になるのです。

これがまたあと数か月もすれば綺麗な繁殖羽に換わりますので、そちらもぜひ確認してみてください。


マガモが逆立ちで採食しているところです。
意外と首は長く、水中の餌も食べることができます。

 
水中といえば、こちら、キンクロハジロです。
彼らは水中に潜って餌をとる習性があります。
右の写真はわかりにくいですが、ちょうど潜ったところを撮ったものです。

しばらく見ていると浮き上がってきて、またそのうち潜ります。

ちょうど地味な季節に差し掛かっていますが、案外と面白いフライングケージまでどうぞお越し下さい。


おまけ
隣のレッサーパンダ舎にて。
 
シンゲンとコーアイがじゃれ合っていたので載せてみました。
ケンカではありませんので、ご安心ください。


2015年8月19日(水曜日) 小さい秋みつけた


ここのところ天気も落ち着かず、また釧路では夏休みも終わりましたので。
少し静かな動物園です。


今日はホッキョクグマ舎のプール掃除でした。
改修が終わってから初の掃除となります。約1か月分の汚れがこびりついていて、なかなか大変なようです。


今日は隣の小放飼場で、大玉を抱えていたミルクです。



今日はハクトウワシのところに寄ってみました。
割と2羽で並んでいることが多かったのですが、今日はばらけていました。
そういう気分だったのかもしれません。

 
こちらは、巣の近くにペアでいるオオワシと、こちらを警戒して鳴いているオジロワシ。

こうした大型の猛禽類は凛々しく、美しさと力強さを感じさせます。

オオワシやオジロワシは、野生下では、ヒナも巣立ち、成長しているころでしょうか。
北から渡ってくるのはもう少し先のことです。

 
こちらは食事中のタンチョウ。
2羽重なっているのでわかりにくいですが、手前の個体は羽づくろいをしていて、奥の個体はちょうど魚を丸呑みにするところでした。

タンチョウも、ペンギンなどと同じく、魚は頭から丸呑みにします。
とはいえ個体差や日による差もあって、バラバラにしてから食べたり、ちぎって食べたりもします。
理由についてはよくわかりませんが、気分なのでしょうか。


 
ちょうど担当者が来ているところだったので、久々にエゾモモンガに会えました。
ペアで追いかけあったり、鼻を近づけて見たり、仲もよさそうです。

そういえば先日行われた夜の動物園まつりでは大活躍だったそうです。

夜行性なのでなかなか会えませんが、出ていることもありますので。
気長に通ってくださいますよう、お願いいたします。


北海道ゾーンでは、夏の花が目立っています。

 
エゾトリカブト(キンポウゲ科)とナガボノシロワレモコウ(バラ科)


こちらはミツバベンケイソウ(ベンケイソウ科)

周りのヨシも伸び、木道に覆いかぶさってくるほどですが、吹き抜ける風には少し涼しさを感じるようになりました。

 
足元に目を向けると、オオアマドコロ(ユリ科)やマイヅルソウ(ユリ科)が実をつけています。
マイヅルソウの実は、もうしばらくしたら赤くなるでしょうか。

お盆も過ぎて、少しずつ季節が移ろっていきます。
秋を探しに、動物園までお越しください。


2015年8月14日(金曜日) この愛をすべておもちゃに捧げたとして

午後からは小雨がぱらつき、少し涼しい一日でした。
ちょうどお盆にさしかかったからか、ここ数日は多くのお客様がお越しで、内地の方にもお会いしています。
ご来園まことにありがとうございます。

また、明日15日は、今年最後の夜間開園の日です。
20時半までの開園で、普段は見ることのできない動物たちの夜の様子がご覧になれます。
またこども縁日、ちょうちんプレゼント、フクロウ観察ガイド、コウモリを探そう、など、各種イベントも用意しておりますので、ぜひこの機会にお越し下さい。

さて、本日の園内の様子です。


キリン舎にて、スカイが近くまで来てくれました。
ここ数日は少し涼しく、だんだんアブの発生も少なくなってきたようですので。
コハネもあまりどたばたしなくなってきています。


グラントシマウマの小夏さんは食事中でした。

 
相変わらず威嚇に出てくるダチョウのジョンと、ちょっと控えめのヨーコ。

 
猛獣舎にて、ならんでくつろぐライオン夫婦。
ここのところ、ゆうきに発情が来ているため、少々室内に入りづらくなっています。


隣では、ゆうひものんびりとしています。

本来は夜行性ですので、昼間は寝ていることが多いのですが。
明日は夜間開園ですので、暗くなってからの様子も見ることができます。

さて。
中の人的にはなるべくまんべんなく色々と登場させたいところなのですが。
今日は時間泥棒どもに捕まってしまったので、せっかくなので載せてしまいましょう。

まずミルクです。

 
今日のお気に入りはポリタンク。いつものように投げてから飛び込みました。
後足の揃っているのが、たいへんいい感じです。


さらにはこんな顔とか、


こんなこともしています。


お次はツヨシ。


>ポリタンクもいいし、


>この二つも捨てがたい。

 
>いやいや、やっぱりこれがいいかな。

いつも以上に遊んでおりました。

夏休みになってから、多くのお客様がいらっしゃっています。
パクパクタイムの時など、たいへん混み合うこともございます。

前方の方は少しかがんでいただいたり、小さなお子様を前の方に入れていただくなど、アナウンスをすることもございます。多くの方がご覧いただけるよう、ご協力くださいますよう、よろしくお願いいたします。


2015年8月12日(水曜日) 涼風の至る


気温の割には湿度が高く、そう暑くないはずなのに暑い日です。
内地の方には怒られるかもしれませんが、釧路基準では十分暑いのです。

暦上ではもう秋になり、涼しい風が吹いて暑さが和らぐ時季とされます。


猛獣舎にて、ごろ寝するカフカ。
声をかけても、ちょっと尻尾が動いただけでした。


なんとなく肉球に惹かれたので、どアップを1枚。
こうしてみると、きれいに梅の花型ですので、やはりネコの仲間だなあと思うのです。


 
サル山にて、7月に生まれた今年4頭目の子ザルです。
パイプが気になるらしく、活発に一人遊びをしていました。
この満足げな顔をご覧ください。



白鳥池にて。
オオハクチョウは羽づくろいに余念がありません。


野生のマガモが10羽前後飛来しています。
繁殖羽からエクリプスに変わり、地味になっていますが。手前がメスで奥がオスです。
オスは茶色い胸羽が残っていますし、嘴が黄色なのは変わりませんので、見分けることができます。


対岸の樹上に、いつものオジロワシが来ていました。
エサを探しに来ていたのでしょうか。

 
木道脇にて、ハンゴンソウ(キク科)やヨツバヒヨドリ(キク科)が咲いています。
他の草も背丈が伸び、夏らしくなってきています。


獣舎の壁にキアゲハ(アゲハチョウ科)がとまっていました。
昨晩は大雨でしたし、羽を乾かしたかったのでしょうか。

アイヌ語ではチョウは一般的に「マレウレウ」と呼びます。
キアゲハとアゲハは特に区別していないようですが、年に2回出現するので、春先に出るものを「プクサマレウレウ」や「キトマレウレウ」、夏ごろに出るものを「イチャヌイマレウレウ」や「カムイチェプマレウレウ」と呼びます。

それぞれ、成虫が飛ぶ頃にギョウジャニンニクが出たり、サケマス漁が行われたりしたためとされます。

身の回りのちょっとしたことですが、季節の移り変わりが感じられると嬉しくなります。


おまけ

午後のホッキョクグマ舎にて。


遊び疲れたミルク


ツヨシも砂場で寝ていました。


2015年8月7日(金曜日) にくきもの

今日は湿気はありますが、気温が低く、少し寒いくらいに感じます。
数日前にやたら暑かったせいでしょうか。


類人猿舎をのぞいてみると。


ロリーはまたカゴをかぶっていて、りなはなんだかくつろいでいる様子です。
なんとなくダンディな雰囲気を醸し出しています。メスなのに。


シロテテナガザルは今日は涼しいからか、室内にいます。
オンちゃんが器用にさかさまになっていました。
御年57歳以上(推定)ですが、まだまだかくしゃくとしています。


トナカイ舎に寄ってみると、食事中でした。

夏毛になったトナカイたち。角もしっかりと伸びています。
皮がむけてくるのは、もうしばらくあとのことです。


猛獣舎にて、おすまし顔のチョコ。
のんびりと座っています。


ビーバーの菊丸は、部屋の中で食事中でした。
好物の高野豆腐をカリカリとかじっています。


お隣のカナダカワウソ。
なんとなく正面顔を撮ってみました。
眼が細くなっているので、なんとなく微笑んでいるようにも見えます。
まあ、実際はそんなことないのでしょうが。


 
ペンギン舎にて、フンボルトペンギンたちの換羽が始まっています。
羽の生え変わり具合には、個体差がありますね。

この時季は水に入りたがらないので、泳いでいるところはなかなかご覧いただくことができません。
換羽が落ち着くまで、もうしばらくお待ちください。

 
そういえばペンギン舎前のプランターに、ハーブが植えられています。
小さい花も咲いていますので、気が向いたらご覧ください。

なんでも虫よけも兼ねているのだとか。

夏場は虫も多く、特に蚊など、時にヒトなどを刺すものも多く出てきます。
まあ、彼らも常に吸血だけをしているわけではないのですが(例えばオスは血を吸わないし、オオカ亜科というグループではメスでも吸血しない)、とりあえずそれは置いておきましょう。

日本は高温多湿ですので、昔から蚊には悩まされてきました。
今であれば、蚊取り線香を焚くか、虫よけスプレーなどをするか、といった方法をとりますが。
そんなものがなかった時代には、蚊帳(かや)を吊る、蚊遣火(かやりび)を焚く、という方法がとられていました。
蚊遣火というのは、松や杉、ヨモギなどをいぶして、その煙で蚊を追い払うという方法で、古くから用いられてきました。
ちなみに蚊取り線香の普及は明治時代半ば、蚊帳が庶民に普及したのは江戸時代とされます。

蚊が飛んでいると気になるのは、古代でも同じだったようです。
例えば枕草子では、「にくきもの」の中に「ねぶたしと思ひて臥したるに、蚊の細声にわびしげに名のりて、顔のほどに飛びありく。羽風さへそのみのほどにあるこそいとにくけれ」とあり、横になって寝ようとしているときに蚊が顔の周りを飛び回っているのが気になる様子が書かれています。
もっとも、いらっとくる、というだけで、恐ろしいとか嫌だとか、そうした様子では書かれていません。

煙や線香を焚いたり、網を吊ったりして、昔からあまり変わりはないようですが。
日本人として、蚊と付き合ってきた歴史というものであります。
また、これはこれで、一つの風情というものなのでしょう。

かやり火のけむりのすゑもほのかにて かすみにのこる夏のよの月(千五百番歌合:寂蓮)


2015年8月4日(火曜日) 何でタケの葉じゃなくてササの葉さらさらなのだろうか

8月になりました。
湿度が高く、蒸し暑い日が続きます。
もっとも、本州からいらしたお客様によると、じゅうぶん涼しいのだそうで。
住んでいるのと時々来るのでは、その辺の感覚は違うものであるようです。

アルパカ舎を訪ねてみました。

ネプチューンがハンサムな感じに撮れたので載せてみました。
青草がほしい様子でしたが、残念ながら私は写真を撮るだけなのです。


お隣の総合獣舎で、メンヨウの子どもがずいぶんと大きくなりました。
周りにいるのはおとなたちですが、もうあと一回りかふたまわりでほぼ同じ体格になります。
もっとも、親たちの方が太っているので、サイズ的にはもう少しかかるでしょう。


レッサーパンダ舎では、シンゲンとコーアイが暑そうにしています。


運動場の端っこ、柵に沿わせてホースがひかれてあり、そこから霧が出るようになっています。
少しは涼しく感じてくれているでしょうか。


山を越えてヒグマ舎に行ってみると、ヤマトが水浴び中でした。
暑い日にはよく水に入っています。


北海道ゾーンにて、ゲンノショウコ(フウロソウ科)が咲き始めました。
薬草として知られていて、干して煎じたものが下痢止めや胃腸の薬として使われてきました。
効果がすぐ現れることから、「現の証拠」と名が付いています。


こちらはエゾナミキ(シソ科)。
夏になると、イルカが泳いでいるような、鮮やかに青い花をつけます。
花の中にはマルハナバチがもぐりこんでいることがあります。
もうしばらくのあいだ、木道脇で見ることができます。


ミゾソバ(タデ科)も咲き始めました。
花は小さくて、咲いているのかどうかわかりにくいですが、沢筋や湿地など、湿ったところを好みます。


エゾゴマナ(キク科)です。
昨年より少し、咲き始めるのが早いですね。
葉がゴマに似ていて、若い葉が食用にされていたこともあるようです。

暑い日が続きますが、木陰を通りながら、散策はいかがでしょうか。

さて。
本日から、サル山前の広場に、こんなものがセットされました。

8月7日が七夕ということで、ヤナギの樹に短冊を書いて吊るすことができます。


ちょっと現地で写真をとれませんでしたので、事務所裏にあった設置前のものを載せます。

北海道のこのあたりでは竹が自生していませんので、その代りにヤナギを使っています。

ちなみに七夕というのは何時頃からあったかというと。
大本は紀元前までさかのぼります。

わし座の牽牛(けんぎゅう)星(アルタイル)と、こと座の織女星(ベガ)が出会うという伝説は中国で生まれ、更に、その日に願い事がかなえられるという伝説も生まれました。ただ、その願い事にタケやササを使う風習はなかったそうです。

その後日本にも伝わり、例えば万葉集には多くの七夕(当時は棚機や棚幡と書いた)の歌が詠まれていますが。
全て織女と牽牛の出会いに関するものであって、願い事がかなうとか、タケやササを飾るということも書かれていません。

現在のように、タケなどを立てて願いごとを書いた短冊を飾るというのは、古くは南北朝時代、盛んになったのは江戸時代になってからだそうで。
庶民に、習字や勉強の上達を祈る風習として広まったと考えられています。

更には、なんで七夕を「たなばた」と読むようになったかなど、謎はいくらでもあるのですが。
あまり長くなってもなんなので、この辺にしておきましょう。