ボルネオオランウータン
霊長(れいちょう)目 オランウータン科
特徴
【飼育個体情報】
愛称 | ロリー | りな | 弟路郎 |
性別 | メス | メス | オス |
出生日 | 1979/6/21 | 2014/1/15 | 1997/1/26 |
出生場所 | 東京都多摩動物公園 | 釧路市動物園 | 釧路市動物園 |
父親×母親 | ジロー×サリー | タンゴ×ロリー | タンゴ×ロリー |
来園日 | 1983/5/20 | 2021/5/26 | |
移動元 | 東京都多摩動物公園 | ー | 札幌市円山動物園 |
所有者 | 釧路市動物園 | 釧路市動物園 | 札幌市円山動物園 |
備考 | 円山動物園の獣舎改築のため、 一時的に預かっています。 |
【飼育されていたボルネオオランウータン】
愛称 | ひな |
性別 | メス |
飼育期間 | 2010年3月1日(生) 2020年10月14日(転出) |
出生日 | 2010年3月1日 |
出生場所 | 釧路市動物園 |
父親×母親 | タンゴ×ロリー |
所有者 | 長野市茶臼山動物園 |
その他 | 東京都多摩動物公園へ転出 |
【一般情報】
分類 | 目 | 霊長目 |
科 | ヒト科 | |
種 | Pongo pygmaeus | |
英名 | Bornean Orangutan | |
レッドリスト | CR | |
外部形態 | 頭胴長 | ♂ 96~97cm ♀ 72-85cm |
体重 | ♂ 60-85kg(フランジのあるオス: 100kg超えることもある)、30-65kg (フランジのないオス)、♀30-45kg | |
性差 | ・性的二系: オスがメスよりも大きい ・成獣オスでは、頬のところにフランジと呼ばれるパッド状の突出物がある。 ・オスには喉に袋状のものが発達しており、二重顎のように見える。 |
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毛衣などの特徴 | ・スマトラオランウータンPong abeliiよりも暗色。 ・幼児の顔はピンクかがった色で、年齢とともに暗くなる。 ・こどもの目の周りは明るい皮膚でリング状に見えるが、ボルネオオランウータンでは、このリングが青年期まで見られる。 |
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分布 | ボルネオ島西部と北東部、ボルネオ島の南部 | |
生物学的特徴 | 生息環境 | ・主として、川沿いや淡水沼沢地、およびピートの湿地沿いの熱帯雨林、低地のフタバガキ科の樹林、標高500mまでの丘陵地フタバガキ科の樹林: 二次林やヒトの森林伐採によって分断化された孤立林でも見られる。 |
食性 | ・主として果実で、葉、芽、樹皮の内側、種、植物の茎の髄、花、草本、昆虫(主にシロアリ、アリ、鱗翅類幼虫)を補足的に食べる。 ・好物はドリアンやマンゴーであるが、数年に1度しか実をつけないため、これらが手に入らない場合はイチジク類やカキ類(苦く低カロリー)を食べ、それらも手に入らない場合にはマメ科などの若葉や樹皮を食べる ・果物の得やすさは、エルニーニョやラニーニャの影響も受ける |
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遊動域 | ・オス 25㎢以上、メス 平均2.8㎢ ・縄張りを持たない ・生息密度: 原生林では1-4人/㎢ |
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繁殖 | ・6-9年に1回、 ・産仔数 1頭 ・一生涯の子の数: 4-7頭程度 ・フランジのあるなしに拘わらず、成人オスは繁殖可能 ・交尾相手の選択権は主にメスにある ・メスはフランジのあるオスを好む ・メスの月経周期: 28-30日 ・排卵は30日月経周期の場合では15日目に起こる ・妊娠期間: 約254日 ・排卵時期、高位のフランジのあるオスの呼び声にメスは引き寄せられる ・閉経:48歳ころ ・離乳:5歳前(離乳後は若者と呼ばれる:青年期は8歳ころまで)。 |
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性成熟 | 15歳前後(メスの最初の出産時期) | |
寿命 | 野生下で50歳くらい、飼育個体で59歳の記録あり。 | |
生態・行動 | ・昼行性 ・主に樹上生活 ・活動バターン: 朝、採餌に時間を費やすが、日中は休んでいる。その後、再び採餌と移動しはじめ、夕刻に地上から12-18mほどの樹上に5-10分ほどかけて枝を折り畳み、直径1-2mのお椀型ベッドを作る。ベッドは使い捨て。 ・独立:6-9歳で母親から独立し、雌雄とも母親の遊動域を去る(母親が次のこどもを出産後に独立することが多い)。 メスは独立後、ほぼ一生同じ場所に暮らす。 オスは独立後同じ場所に居続ける者も居れば、放浪するものもいる。 ・社会性: スマトラオランウータンに比べ社会性は低い、これはボルネオ島ではスマトラ島に比べて餌が得にくく、餌を巡る競争があるためと考えられている。 ・泳げない |
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個体数 | ・1973年の推定数 288,500個体 ・2004年の推定数 104,700個体 ・2025年の予想数 47,000個体 |
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ちょっとウンチク | ・亜種: P. p. pygmaeusボルネオ島西部(マレーシア領、インドネシア領) P. p. morio ボルネオ島北部と東部(マレーシア領とインドネシア領) P. p. wurmbiiボルネオ島南部(インドネシア領) ・DNAは96%、ヒトと一致する ・スマトラオランウータンとは270~500万年前に分かれたという研究もある(40万年前、110万年前など、様々な論文がある) ・熱帯雨林の生態系の中では種子散布者としての役割がある |
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参考文献 | 1) Russell A. Mittermeier, Anthony B. Rylands, Don E. Wilson (eds) 2013 Handbook of the Mammals of the World - Volume 3. Primates. Lynx Editions. Barchelona 2) 久世濃子 2014 オランウータンの生態と保全. 海外の森林と林業 (89): 20-24 3) Strobel, B. 2013 “Pongo pygmaeus” (On-line), Animal Diversity Web. at http://animaldiversity.org/accounts/Pongo_pygmaeus 4) Meijaard, E., D. Buchori, Y. Hadiprakarasa et al. 2011 Quantifying killing of orangutans and human-orangutan conflict in Kalimantan, Indonesia. PLos ONE 6: e27491 5) Ancrenaz, M., M. Gumal, A. J. Marshall, E. Meijaard, S. A. Wich and S. Husson 2008 Pongo pygmaetus. The IUCN Red List of Threatened Species 2016: e.T17975A17966347 (一部のみ参考にした書籍: Wich, S. A., S.S.U. Atmoko, T. M. Setia and C. P. van Schaik 2009 Orangutans: Geographic Variation in Behavioral Ecology and Conservation. Oxford University Press. |
【過去の解説文】
・IUCNレッドリスト 絶滅危惧1B類(EN)
絶滅危惧1A類(CR)ほどではないが近い将来における絶滅の危険性が高い種
・ワシントン条約 附属書1
絶滅のおそれのある種であって取引による影響を受けているか又は受けるおそれのあるもの
オスのタンゴ(写真左)は1980年イギリスのトワイクロス動物園で生まれ、
人の手で育てられて(人工保育)、長野県茶臼山動物園を経て
1990年に釧路市動物園に来ました。
とても人なつっこく私たち人間のやっていることがよくわかっているようで、
運動場にビニール袋などのゴミが風で入ってしまった時も
きちんと拾って持って来てくれます。
メスのロリーにもとても優しく、よい夫です。
メスのロリー(写真右)は1979年多摩動物園で生まれ、
4歳の時に釧路市動物園に来ました。
なかなか人に慣れず当時の担当者が苦労したそうです。
そのロリーも今では信頼してくれてるようですぐに寄って来てくれます。
2頭の子供を立派に育て札幌の円山動物園に行くと
そのうちの1頭、弟路郎(ていじろう)君に会えます。
2001年冬に体重を計ると100キロもありました。
太り気味とは思っていましたがまさかそこまでとは考えていませんでした。
すぐにダイエットをしなければと、食事メニューの変更をして
1年かけて25キロの減量に成功しました。
ロリーには2010年3月に待望の第5子が誕生しましたが、
授乳の様子が見られず、やむなく人工哺育に至りました。
女の子で、「ひな」と名づけられた赤ちゃんは、
飼育員の手により、すくすくと育てられております。
2010年3月から2012年3月までのオランウータンのひなちゃんのページはこちらから