【博物館友の会】春採湖畔植物フェノロジー調査<8月>

博物館友の会「春採湖畔植物フェノロジー調査」レポート <8月>

釧路市立博物館友の会会員による“春採湖畔らしさを探すための”春採湖畔植物フェノロジー調査

その16】8月7日(金)

ツリガネニンジン

ツリガネニンジン(キキョウ科)が開花しました。
「ガイドブック春採湖畔花こよみ200選+α」の編集をしているとき、この花を見てどんな音を思い出すか?という問いかけに、ある方は釣鐘だから「ゴ~ン」だ!! いや西洋の釣鐘だから「カラ~ン・カラ~ン」だ!!
人はそれぞれの感性を持って花を見ているものなのですね。

ナミキソウ

ナミキソウ(シソ科)の花です。
浪来草と書きます。つまり海岸の砂地に多い花という意味だそうです。花は上唇より下唇の方が大きく、一見魚が餌を食べているようにも見えませんか? 私の感性でそう思って撮影をしたせいでしょうか?

シベリアシオガマ

シベリアシオガマ(ゴマノハグサ科)の花です。
高山で咲くヨツバシオガマの仲間です。北大出版の「新北海道の花」には、葉が菊に似ていることから「塩竃菊」と呼ばれ、塩竃の由来は「浜の景色を引き立てることから浜で美しい→葉まで美しいとかけたとされる」と書いてありました(広辞苑も近似記述)。

エゾカワラナデシコ

秋を感じさせる花が続きます。
エゾカワラナデシコ(ナデシコ科)が咲きました。
5片の花弁の先が細かく切れ込んで風車のように見えます。この花は咲き出すとまもなく満開になるため見ごろは短く、その後は残り花が10月頃までポツポツと見られます。

エゾミソハギ

エゾミソハギ(ミソハギ科)も開花しました。
旧盆の頃に咲くので仏花として供える人もいるといわれます。調査仲間の一人は「釧路ではこの花を盆花といいます」とのこと。(前回私は「オミナエシを十勝の一部では盆花」といいました)。地方性が出て調査も楽しいですよ!!

タチギボウシ

タチギボウシ(ユリ科)の開花です。
名の由来が、つぼみの形が橋の欄干につける玉(擬宝珠)に似ているとのことだそうです。春採湖畔ではあまり群落になりませんが、釧路湿原では前回ご紹介のヤナギランと競うように群落で咲きます。是非観光資源として活用してください。

ツユクサ

ツユクサ(ツユクサ科)の花です。
この花を見ると、秋の虫の声が聞こえてくるような気分になります。青い2枚の花弁が上を向き、白い一枚の花弁は下を向いています。その可憐な美しさを、万葉の頃から「ツキクサ」と歌にめでられた花ですよ。

エゾトリカブト

エゾトリカブト(キンポウゲ科)が開花しました。
ご存知のように根に猛毒を持ち、茎・葉・花・花粉にまで毒があるといわれます。花は雅楽を奏する人の冠に似ており、名の由来にもなっています。観賞用としては美しい花です。(見るだけなら大丈夫ですよ!!採取はしませんように…)

ノリウツギ

ノリウツギ(ユキノシタ科)の花です。
「サビタ」と言う方が一般には通りが良いかもしれません。6月27日ご紹介のカンボクに似ていますが、カンボクの飾り花は花弁で、花が終わると落ちますが、こちらの飾り花はガクですので花が終わっても落ちず、茶色に枯れていきますよ。冬に見てください。

ヤブジラミ

ヤブジラミ(セリ科)の開花です。
50歳以下の方はあまり見たことは無いでしょうが、虱(シラミ:吸血昆虫)にそっくりな実が付くためこんな名をつけられました。実が付くまではとても可憐花なのですがねぇ。実が付いたらまたご紹介しましょう。

エゾミズタマソウ

エゾミズタマソウ(アカバナ科)の花です。
別名:ヤマタニタデと呼ばれます。春採湖畔のゴマツリ岬から旧科学館下のスイレンが咲いている付近にかけての遊歩道脇に多く、赤紫色のガク片の中から白い小さな花が、1固体にたくさん付いていて綺麗ですよ!!

チシマオドリコソウ

チシマオドリコソウ(シソ科)の花です。
チシマオドリコソウは、観察地点では7月中旬に開花を確認していたのですが、今年の開花は貧弱でしたのでご紹介を控えておりました。今回トンボ池脇で綺麗な固体を見つけましたので改めてご紹介します。オドリコソウに比べて花はまばらにしか付きません。

コケイラン

コケイラン(ラン科)の芽吹きです。
コケイランは冬青々とした葉をつけ、花が咲く頃には葉が枯れていくということが知られていましたが、では何時新芽が出るのか?が今回の調査目的の一つでもありました。
筍のように芽吹いているのをついに見つけちゃいました。

オニグルミ

その後のオニグルミ(クルミ科)です。
6月27日のHPで花をご紹介しました。 その後実が付き、観察のつど色付いていきます。でも、この木ではこの3個しか実が付いていません。内陸のオニグルミはたくさんの実をつけますので、春採湖畔の気候の厳しさを物語る風景かも知れません。



ようやく釧路らしいお天気が続くようになりました。釧路に在住の方にはこれだけでご理解いただけるでしょうが、猛暑日に見舞われている方に釧路のお天気を解説します。朝目覚めると辺りは霧、9時頃には太陽が顔を出しますが時々霧が風に乗って入ります。夕方にはその霧が全天を覆い曇りの状態になります。最高気温は22~23℃くらいですよ。
次回の観察は8月16日の予定です。

(文章・写真撮影 友の会々員 藤田)

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【その17】 8月17日(金)

ネジバナ

ネジバナ(ラン科)の開花です。
花が花茎にねじれ並んで付きます。ねじれ方は右巻きや左巻き、全くねじれないものなどがあります。ねじれ方を見るときは、植物の成長を考えて下から見上げてくださいね。ラン特有の唇弁は白く、縁に細かい歯牙があります。別名:モジズリ(捩摺)

ヒロハヒルガオ

ヒロハヒルガオ(ヒルガオ科)も咲きました。
ヒロハヒルガオは白い花が主流ですが、春採湖畔ではピンクの花が多く見られます。私達は、釧路周辺のヒルガオとヒロハヒルガオを観察して比較した結果、春採湖畔の種はヒロハヒルガオとしました。ただし、ときに両者の特徴を持つと思われるものもありました。

カセンソウ

カセンソウ(キク科)の花です。
漢字で「歌仙草」と書きますが、私の手元の図鑑ではどれも名の由来は不明とあります。
花はタンポポと良く似ていますが、ほとんどが舌状花のタンポポに比べ、花の中央に筒状花がありこれを舌状花が囲んでいます。釧路市立博物館裏の野草園で今が見頃です。

エゾヤマハギ

エゾヤマハギ(マメ科)が咲きました。
最近は「エゾ」をつけずに「ヤマハギ」と呼ぶ場合もあるようです。この花は次々咲きますが、先の花がどんどん枯れていきますので、咲き始め頃が一番美しく今が一番の見頃です。春先古い株から新芽を吹くので生え芽(ハエギ)がハギになったとの説があります。

クサレダマ

クサレダマ(サクラソウ科)も開花です。
クサ・レダマと呼んでください。地中海沿岸の木Retama(レタマ)に似た草という意味です。茎が細く軟らかいため、花期に強風が吹くと直ぐ倒れてしまいます。私が“ワンパクボウズ”のころは、春の若芽をおやつ代わりに採って食べました。

ハナイカリ

ハナイカリ(リンドウ科)の花です。
花冠が4個に深裂し、裂片の下方が延びて距になった様子が、船の碇(イカリ)に似ていることが名の由来です。写真を見ていただけば「なるほど」と思ってくださると思います。
博物館裏の野草園土手で見られますよ。

エゾナミキ

エゾナミキ(シソ科)も開花しました。
前回8月7日のHPでご紹介の「ナミキソウ」の一変種で、ナミキソウに比べ茎に毛が少なく、葉先がやや尖っています。湿地の半日陰地を好み、茎が柔らかくヒョロヒョロとして真っ直ぐ伸びない固体が多いので、直ぐ見分けられますよ。

ミゾホオズキ

ミゾホオズキ(ゴマノハグサ科)の開花です。
水の流れるような湿地を好み、草丈10~20センチ程度ですから、撮影には大変苦労をします。1.5センチ程度のラッパ型の花が付き、写真の花の上に見えるのが実で、ホオズキの実をうんと小さくした形です。今年は天候のせいでしょうか一月近くも遅れて咲きました。

ハッカ

ハッカ(シソ科)の花が開花しました。
薄紫の花が葉腋に多数集まって咲きます。茎はシソ科に共通の稜が4本あります。戦前北見地方で栽培されたハッカは、この和種ハッカが中心であったと伝えられ、現在も僅かながら栽培されているとのことです。子供のころ運動会で足に摺りこんで走りました。

ミヤマヤブタバコ

ミヤマヤブタバコ(キク科)の花です。
別名:ガンクビヤブタバコといわれるように、喫煙具のキセル(若い人は映画でしか見たことが無いのでは? 昔の若者は良くご存知のはずです!)の雁首に火の付いたタバコが付いているように見えるでしょ!!
この花はこの状態が満開です。

ゴボウ

ゴボウ(キク科)の花です。
野菜のゴボウそのものです。もともとヨーロッパやヒマラヤ、中国に自生していたものを日本では栽培していますが、野生化したゴボウを「ノラゴボウ」と呼ぶことがあります。
頭花は球形、総苞片は針状で先が鉤状に曲がり、衣服や動物に付着して運ばれます。

ナガボノシロワレモコウ

ナガボノシロワレモコウ(バラ科)の花です。
“すぎもとまさと”が歌った「吾亦紅」の仲間です。ワレモコウは球形穂状で咲きますが、こちらは長い穂状で、花の先から咲いていきます。同じ仲間で花が赤い希少種の「ナガボノアカワレモコウ」を、私は帯広市100年記念館前の池の端で見てしまいました。

イケマ

イケマ(ガガイモ科)の花です
話題として掲載します。イケマの実はなんと野菜のオクラにそっくりなのです。オクラは茎に上を向いてつきますが、こちらはぶら下がります。でも実だけ見せられたら区別が付かないくらいです。アイヌの人たちはこの根を首飾りに加工し、旅の魔よけとして利用するといわれます。

ヤブマメ

ヤブマメ(マメ科)の花が咲きました。
ヤブマメは小さな花ですが、地下に立派な豆を実らせ、アイヌの人たちは大切な食料としたと聞きました。私達は根に豆をつけるのか、落花生のように茎などが地下に降りて豆をつけるのか、謎を知るため詳しい調査をしています。



ようやく暖かくなったと思ったら、雨続きの水溜りで大量の蚊が孵化し、私達調査班を悩ませています。特に私は写真撮影中、風に揺れる花が止まるまでジッと息を凝らしてまっていますので、蚊の絶好の標的のようです。こんな年寄りの血はまずいですよ!!(怒)

次回の観察は8月26日の予定です。

(文章・写真撮影 友の会々員 藤田)

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【その18】 8月26日(水)

ミヤマアキノキリンソウ

ミヤマアキノキリンソウ(キク科)の開花です。
黄金色に咲く様子から別名:コガネギクとも呼ばれます。私はこちらの名のほうがイメージがわきます。この花が咲き出すといよいよ夏の花は終わり、秋の花々が残り少ない花の季節をいっきに咲き誇ります。

ミゾソバ

ミゾソバ(タデ科)が咲いています。
花は懐かしい金平糖そのものです。葉がほこ形にくびれている様子から、別名:ウシノヒタイとも呼ばれます。似た花で葉がほこ形にくびれていない「タニソバ」も咲いていましたよ。

エゾヤマアザミ

エゾヤマアザミ(キク科)も開花しました。
花はチシマアザミに比べて小さいですが、上を向いて茎頂に多数の花が咲きます。春採湖畔ではゴマツリ岬付近で見ることが出来ます。似た花でエゾノキツネアザミがバーベキューコーナー下の遊歩道脇で咲いていますが、5年ほどの間にずいぶん少なくなりました。

ヒヨドリバナ

ヒヨドリバナ(キク科)の開花です。
1花序に複数の筒状花が集まっており、中から伸び出ているのは花柱(雌しべ)です。 ヒヨドリの鳴く頃に咲く花とのいわれだそうですが、最近のヒヨドリは年中鳴いていますよね!

ミヤマニガウリ

ミヤマニガウリ(ウリ科)の花です
繁茂すると、魔法使いが住む西洋のお城に絡む蔦のようになりますが、小さな花を咲かせています。この花の秘密は、実になっても何時までも花弁が実の先に付いていることと、実の中になんとカメムシそっくりの種が入っていることです。

ヤマハハコ

ヤマハハコ(キク科)が開花しました。
ハハコグサ(春の七草:オギョウ)に似ていることからつけられた名と言われます。葉の裏に長い綿毛が密にあります。白い膜質の総苞片の中に黄色い筒状花を咲かせますが、雌雄異株で雌花と雄花があります。降雪時まで枯れずに残ります。

チドリケマン

チドリケマン(ケシ科)が咲きました。
北海道の東部・中部に固有の種であり、西端は日高南部から旭川付近とされます。花の形が浜辺で群れ遊ぶ千鳥に例えた名と言われます。春採湖畔ではいつも群落で咲くのですが、今年は気候のせいでしょうか、数が少ないようです。

オオアワダチソウ

オオアワダチソウ(キク科)が咲きました。
北アメリカ原産の多年草で、明治年間に観賞用として渡来しました。穂先が釣竿の先のよう見えることからGoldenrodの名で庭に植えられましたが、繁殖力が強く今では雑草化しています。まもなく春採湖畔ボート乗り場付近が真黄色になりますよ。

ヤブジラミ

ヤブジラミ(セリ科)の実です。
8月7日の報告で、吸血昆虫の「シラミ」に良く似た実が付くとご紹介しました。その実がこれです。私達60歳台が小学生の頃、女の子の髪についていた「シラミ」にやはり似ています。これを見ると“なるほど”と妙に感心してしまいました。

イヌタデ

イヌタデ(タデ科)が咲き始めました。
私が子供のころママゴトで“あかまんま”として食べさせられましたが、食べても美味しくないからイヌが付いているのです。「蓼食う虫も好き好き!!(私は虫か!怒)」
春採湖畔には仲間の「ハナタデ」や「ハルタデ」などがあります。



いよいよ秋本番ですね。夢中で観察を続けてきたひと夏ですが、何か心寂しさがわいてきます。次回頃にはユウゼンギクが咲き始めるでしょうが、この花が春採湖畔のお花畑最後の花になります。しかし、観察はこれらの花が枯れてしまうまで続ける予定です。いま少しお付き合いください。
次回の観察は9月5日の予定です。

(文章・写真撮影 友の会々員 藤田)

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