【博物館友の会】春採湖畔植物フェノロジー調査<5月>

博物館友の会「春採湖畔植物フェノロジー調査」レポート <5月>

釧路市立博物館友の会会員による“春採湖畔らしさを探すための”春採湖畔植物フェノロジー調査

【その9】5月29日(金)


エゾノウワミズザクラ

エゾノウワミズザクラ(バラ科)が満開です。
エゾノウワミズザクラは、ゴマツリ岬と春採湖ネイチャーセンターの中間付近で、沢山の木が集中して咲きます。真っ白い房状の花が満開になると、まるで樹木全体に雪が積もっているように見えます。また、この花が咲くとあたり一面にお香を焚いたような香りが漂います。

エゾノウワミズザクラ2

福岡イト子著アイヌ植物誌には、アイヌの人々はこの木を「キキンニ(身代わりに出て危険を追い払う・になる・木)」と呼び、どこかで病気が流行ったと聴いたら、この木の枝を戸や窓に差すと、その臭いで病気の神が寄りつかない。と言われていると書いてあります。
新型インフルエンザには効きますでしょうか?

カスミザクラ

カスミザクラ(バラ科)も満開です。
カスミザクラは、エゾヤマザクラが散った後に続くように咲きますので、遅咲きのエゾヤマザクラと間違われることがあります。花はエゾヤマザクラより色が白く小さめで、満開の木は名のとおり霞がかかったように見えます。春採湖畔には10数本あります。

トガスグリ

トガスグリ(ユキノシタ科)とエゾスグリ(ユキノシタ科)が共に満開です。
花はどちらもよく似ていますが、トガスグリの葉は掌状で5~7裂、エゾスグリは浅い3~5裂で、幹はエゾスグリが立ち上がり1~2メートルになるのに対し、トガスグリは幹の下部がほふくしてまるで蔓のように見えます。

エゾスグリ

写真は上がトガスグリで、左はエゾスグリの花のアップです。あまり違いはないのですが、トガスグリの花はやや車形、エゾスグリはつりがね形です。どちらも秋には赤い実をつけ食べられますが、スグリを漢字で書くと「酸塊」と書き、とても酸っぱいという意味ですよ!!

エダウチチゴユリ

エダウチチゴユリ(ユリ科)が咲きました。
春採湖畔では、緑風荘前の笹薮の中でひっそり咲いています。
枝の出ていないエダウチチゴユリは基本種のチゴユリと良く似ていますが、葉の裏の突起の違いなどで区別をつけます。ただし、ルーペまたは顕微鏡が必要です。

シコタンキンポウゲ

シコタンキンポウゲ(キンポウゲ科)も開花です。
この写真は、博物館裏の野草園土手で撮影しましたが、春採湖畔では所々で見られます。良く似た花で地面を這うようにして咲く「ハイキンポウゲ」もあります。シコタンキンポウゲは、ほふく枝を持ちますが花が地面を這うことはありません。

マイズルソウ

マイヅルソウ(ユリ科)です。
葉の形が、鶴が羽を広げて舞っているように見えることから名づけられたといわれます。
花は穂状に咲き雄しべが長く、線香花火のようです。6月末にはまだら模様の実が付きはじめ秋には赤く熟します。

クサノオウ

クサノオウ(ケシ科)が咲いています。
クサノオウは草の黄と書き、茎を折ると黄色い液が出てきます。「アイヌの人はこの黄色い汁をガッチャキの薬として使う」と本で読んだことがありますが、「ガッチャキ」とは北海道の方言で「痔疾、痔瘻」のことです。私は試したことがありませんので、効能は保障しかねます。

おまけ

本日のおまけです。
春採湖畔には、釧路市公園緑化協会と釧路市立博物館友の会で作成した写真入の花の案内看板が立てられていますが、その一つの花の写真に「モンシロチョウ」が止まっていました。本物の写真に見えたのでしょうか?看板の原稿を作ったのは私です!!(自慢)



今回の観察調査は5月28日に行われたのですが、終日霧雨で撮影が出来ず翌29日の撮影となりました。また、前回5月17日観察の報告が、HPの管理者とのやり取りに時間がかかり掲載が大幅に遅れてしまいました。このHPを心待ちにしてくださっている皆様にお詫び申し上げます。
次回の観察は6月7日の予定です。

(文章・写真撮影 友の会々員 藤田)

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【その8】5月17日(日)

エゾヤマザクラ

先ずは、お約束の満開の桜です。
これは、春採湖畔バーベキューコーナーで撮影したエゾヤマザクラ(バラ科)です。
釧路の桜は5月10日、稚内・根室と共に気象台から開花が宣言され、5月14日には満開と発表されました。
私達は、鶴が岱公園にある気象台の標本木と、春採湖畔の桜はどちらが先に開花するのか注目していました。

満開のサクラ

結果は、鶴が岱・春採湖畔ともに同日開花・同日満開でした。(ちょっと安心・ちょっとがっかり!!)
ところで、気象台で観察される桜の開花と満開の定義をご存知ですか?
実は、標本木で5~6輪開花したときを開花とし、その木の80%開花(8分咲き)の場合を満開と言います。

別名オオヤマザクラ

なぜ80%なのかと言うと、100%開花の状態では、先に咲いた花が散り始めますので、最も美しく見えるのは80%なのだそうです(元気象庁職員の私が言うのですから間違いありません)。
エゾヤマザクラは、別名オオヤマザクラとも言います。

チシマザクラ

こちらはチシマザクラ(バラ科)です。
今年はチシマザクラもエゾヤマザクラと同日開花と満開となりました(チシマザクラの方が早い年もあります)。
写真は春採湖ネイチャーセンター横の駐車場入り口のチシマザクラです。根室測候所では、全国唯一この種の桜を標本木にしています。

チシマザクラの特徴

チシマザクラはミネザクラの仲間ですが、写真で見られるように、葉柄、花柄、葉脈、葉面、がく筒などに毛が多いのが特徴です。
しかし、産地により毛が密なものからまばらなものまであり、基本種のミネザクラとの区別が困難な場合があるそうです。

センボンヤリ

センボンヤリ(キク科)の開花です。
春花のセンボンヤリは白い花が多いのですが、少数派の赤い花をご覧ください。なお、秋花は閉鎖花(開かない花)で槍のような容姿をしています。秋に撮影が出来ましたらご紹介しましょう。

エゾノクサイチゴ

エゾノクサイチゴ(バラ科)です。
庭先や菜園にあると果物の苺と見間違うでしょう。7月上旬には小さめの実をつけます。
味はちょっと甘酸っぱい感じです。
阿寒湖畔スキー場で群落を見たことがあります。実を採取して食べるときは熊さんとの争いにご注意ください。

タチツボスミレ

タチツボスミレ(スミレ科)が見頃です。
春採湖畔では、ツボスミレ、エゾノタチツボスミレ、タチツボスミレが見られますが、タチツボスミレは、托葉の切れ込みが細かく深いのが特徴です。春採湖畔緑風荘前の遊歩道脇に群落で咲き今が見頃です。

オオバナノエンレイソウ

オオバナノエンレイソウ(ユリ科)が咲きました。
春採湖畔の延齢草は、ほとんどこの種で白く目立つ花です。特徴は雄しべの葯が長く子房に紫の斑点があります。釧路の人は「雨降り牡丹」と呼び親しんでいるとのことです。
「延齢草」という名前を聞くだけで、何か縁起の良い、あやかりたい気がしてきますよね!!

オドリコソウ

オドリコソウ(シソ科)が満開ですよ。
前回、開花をご紹介したオドリコソウが最盛期を迎えています。オドリコソウには写真のように白く見える花と、やや紫がかって見える花があります。良く観察してみてくださいね。



春採湖畔では5月下旬から7月にかけ、次々と花が咲き誇ります。遊歩道脇で一段と背を伸ばし目立っている花と、日陰でひっそりと咲いている美しい花などがあります。体を鍛えるためのジョギングも大切ですが、時にはゆっくり花などを観察されて見るのはいかがでしょうか?
次回の観察は5月28日の予定です。

(文章・写真撮影 友の会々員 藤田)

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【その7】5月8日(金) ~花の季節がやってきました~

オドリコソウ

オドリコソウ(シソ科)が咲きました。
2006年2月に行った「あなたが選ぶ春採湖畔花暦200選」の投票で第一位になった花です。それだけ釧路市民にはなじみの深い花といえるでしょう。この花の花弁を広げてみると、女性が阿波踊りを踊っているように見え、名の由来となっています。

ニリンソウ

ニリンソウ(キンポウゲ科)も咲きました。
ニリンソウと言いますが、二輪咲くものばかりではなく、一輪しか咲かないものや三輪も咲くものなどいろいろです。春先の葉は食べられるそうですが、エゾトリカブトと良く似ており、今年も間違ってエゾトリカブトを食べる事故があったようです。お気をつけください。

ミドリニリンソウ

ミドリニリンソウ(キンポウゲ科)です。
花弁状がく片が緑色のニリンソウです。ニリンソウは、アズマイチゲやウラホロイチゲなどと同じように花弁がなく、白く花のように見えるのは花弁状のがく片です。ミドリニリンソウは進化の過程で色が抜けきることが出来なかったのかも知れませんね。

エゾオオサクラソウ

エゾオオサクラソウ(サクラソウ科)も咲きました。
葉の形が掌状(手のひら状)で、葉や花茎に毛が多いのが特徴です。春採湖畔では盗掘などにより一時期見られなくなりましたが、今年はところどころで復活してきているようです。

フデリンドウ

小さな花です。
フデリンドウ(リンドウ科)の開花です。

背丈は5センチにも満たないくらいの小さな花で、つぼみが筆先のように見えます。
花は晴れた日には大きく開きますが、この日は霧がかかっていたため残念ながら半分閉じています。

チシマネコノメソウ

ネコノメソウ(ユキノシタ科)3種です。
チシマネコノメソウ(ユキノシタ科)です。

ネコノメソウの実が猫の目に似ていることが名の由来だそうです。チシマネコノメソウは根元にロゼット葉を持ち、葉が対生で葉の付け根以外に毛が無いなどの特徴があります。

ツルネコノメソウ

ツルネコノメソウ(ユキノシタ科)です。
ツルネコノメソウは葉が互生で、走出枝が長く地上に伸び葉を付けますが、開花当初は走出枝がまだ短く、チシマネコノメソウと見分けが難しいことがあります。その場合は根元のロゼット葉を確認してください。

エゾネコノメソウ

エゾネコノメソウ(ユキノシタ科)です。
エゾネコノメソウは地上に伸びる走出枝がなく、苞が鮮やかな黄色であることが特徴です。ここに紹介したネコノメソウ三種は、花弁がなく4個のがく片が花に見えます。特にエゾネコノメソウは苞まで花に見えるほど鮮やかな黄色です。



観察後の5月10日気象台の標本木、鶴ヶ岱のエゾヤマザクラが開花したと発表がありましたが、実は春採湖畔のエゾヤマザクラも同日に開花したのを確認しました。なお、今年はチシマザクラも5月10日に開花しました。次回の観察ご紹介では、満開のエゾヤマザクラとチシマザクラの画像をお届けできると思います。
次回の観察は5月17日の予定です。

(文章・写真撮影 友の会々員 藤田)

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